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参加団体インタビュー

第8回:  「できることからやってみよう!」が始まり。
日常の社内消費にフェアトレード製品を取り入れることの意義

フェアトレード製品の普及を通じて、世界をプラスの方向へ変える。
このコーナーではフェアトレードに賛同する企業や団体の方々にご登場いただき、フェアトレード製品の普及活動における課題やチャレンジなど、最前線の取り組み事例をご紹介します。

◇はじめに
株式会社NTTデータ様(本社:東京都江東区)では、来客用コーヒーや社内の社員レセプション
スペースでフェアトレードコーヒーを採用しています。また、今年5月のフェアトレード月間にはFLJワークショップ「もう一度フェアについて考える」に企画協力され、国内大手企業のCSRご担当者の方々にも参加を呼びかけていただきました。さらに今年度の株主総会では、お土産にフェアトレード認証のケーキやクッキーを提供されるなど、フェアトレードや国際フェアトレード認証ラベル製品の普及活動に賛同いただいております。※
※ 株式会社NTTデータ様 オフィシャルサイトに掲載されています。
リンク先はこちらをご覧ください。http://www.nttdata.com/jp/ja/corporate/csr/social_contribution/fair_trade/index.html
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 株式会社NTTデータ 総務部 社会貢献推進室
執行役員 総務部長 竹内 俊一 様、社会貢献推進室 室長 吉岡 功二 様、前田 京子 様

インタビュアー:フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局 [ 略称:FLJ ]
中島 佳織/松井 譲治/インターン生:藤澤 美波(慶応義塾大学 総合政策学部 2年)
取材日:2014年6月6日
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FLJ中島(以下、FLJ):
最初に、御社がフェアトレードの取り組みに至った経緯をお聞かせください。

 
(株)NTTデータ 竹内 様(以下、敬称略):
当社では以前から、社員向けのチャリティイベントの中で、一部フェアトレード商品の販売会も
実施していました。一方、数年前から当社は事業のグローバル化を進めており、様々な国の方とNTTDATA11
お付き合いしていますが、そこで海外の大手企業が社内のカフェなどでフェアトレード製品を取り入れている事例を知りました。そのような経緯もあって、会社として社会貢献活動の取り組みを積極化してく中で、「できることからやってみよう!」と考え、まずは応接室で
提供する来客用のコーヒーをフェアトレードコーヒーへ替えることにしました。

FLJ:導入にあたって、ご苦労や社員の方の反応はいかがでしたか?

 竹内:特にこれといった苦労はなく、来社されたお客様へお出しするコーヒーをフェアトレードのコーヒーへ切り替えるだけですから手軽にスタートができました。企業としては、若干のコスト高となり多少の躊躇はありますが、取り組みやすい施策だと思います。

FLJ:来客用コーヒーに「フェアトレード」であることをPOPで添えられていますね。

竹内:当社の取り組みをお客様にアピールしたい思いもありますが、初対面のお客様と打ち合わせする場合はアイスブレーク的な話題にもなります。

FLJ:さらに今年は、株主総会のお土産にフェアトレード認証製品を企画されました。

竹内:はい。当社のフェアトレードへの取り組みをより多くの株主の方へもアピールするため、
フェアトレード認証ケーキを企画しました。

FLJ:企画にあたっては、経営層の方の反応はいかがでしたか?

NTTDATA4竹内:「フェアトレードとは何か?」という点も含め、改めて経営層へ説明しましたが、これまでの取り組み実績もあり、比較的スムーズに賛同を得ることができました。また、株主総会へ参加した株主の方に対しても、これまで環境保護や温暖化ガス排出権の取引についてITを駆使してやっていますというアピールはしてきましたが、本業のみならず、お土産のケーキについても貢献活動の一環として取り組んでいることを知っていただければという思いもありました。さらに、このような取り組みを知っていただいた株主の皆様が「フェアトレード」というNTTDATA5活動や製品があることを知っていただくきっかけになれば、なお嬉しいですね。

FLJ:ありがとうございます。フェアトレード認証のケーキも前例がなく、実際の形にするまでには、相当のご苦労があったことと思います。
 
前田 :たしかに(笑)、材料の入手については困難な面がありました。卵が先か鶏が先かではないですが、消費が少ないせいか材料が入手しづらく、材料が少ないことから製品化も難しくなるという…。比較的流通しているフェアトレードチョコレートを使用しようと思ったのですが、チョコレート自体、夏場には扱わないためチョコレートケーキは作れないとのことで、ではレーズンケーキは
どうだろうか?という相談をしたところ、今度はレーズンの入荷に1か月かかりますとか…。

FLJ:そのような経緯があったのですね。いろんな障壁をクリアされて実現されたことに本当に
感謝しております。改めて御社のようにグローバル展開されている企業の方々にフェアトレードに取り組んでいただくことは非常に重要だと考えています。このような形で取り組んでいただくことによって多数の方たちに知っていただく機会が増えますし、フェアトレードをより普及させていくためにも、イノベーター的なリード役が欠かせないと感じています。

NTTDATA2竹内:ところで、海外でフェアトレードが活発なのは、どのような地域ですか?

FLJ:活動が一番普及しているのはヨーロッパです。特にイギリスはフェアトレード認証製品の市場として一番大きい国です。一方、スイスは広く浸透しています。例えば、スイスのスーパーマーケットで販売されているバナナの半分以上がフェアトレード認証されているもので、調査によるとマーケットシェアは55%とのことです。ヨーロッパ地域のイギリス、スイス、オランダ、アイルランドの国々における「国際フェアトレード認証ラベル」の認知度は80%以上あり、ヨーロッパの市場は成熟しています。しかし、国際フェアトレード認証ラベル製品の市場規模は世界の貿易額から比べたら1%程度しかありません。フェアトレードに参加できないコーヒーの生産者も多数いる中、いかに成長していけるのかが課題です。そんな中、現在注目されているのはアジア地域ですが、現状のアジア諸国では認知度も浸透度もかなり遅れています。私たち日本のFLJも団体設立から昨年20周年を迎えましたが、他の地域、例えば香港、韓国、台湾などは活動を始めて3年程度です。これから期待されるアジア地域の中で、特にNTTDATA33日本のマーケット規模は突出して大きいので、その意味でも日本がアジア地域のリーダーとしての役割を期待されています。さらに、世の中の動きとして、国際フェアトレード認証の基準にもある、「社会や人」にも配慮していこうという機運があります。法整備に至るかどうかはこれからですが、 2012年のロンドンオリンピックでもフェアトレード認証の調達基準が 盛り込まれたように、2020年の東京オリンピックに向けても同じ動きがいろいろなところで出てきています。私たちとしても企業の様々な調達にも組み込まれていくことで、フェアトレードがより広がっていくのではと期待しているところです。

竹内:今後、当社ではフェアトレード販売の回数を増やすなど、社内での消費をさらに進めることを検討しています。先ほどお話のあったヨーロッパの企業での社内消費事例なども知りたいですね。やはり、食堂などで使われているのですか?

FLJ:グローバル企業では社員食堂で調達する食材やコーヒーやバナナが取り入れられています。最終的にケーキやクッキーといった商品化に持っていく例もありますが、最近では食品以外の消費財に取り入れられるケースが増えており、開発途上国で作られているコットンをユニフォームに使うなど、企業におけるフェアトレードの取り組みも多様になっています。例えば、海外ではFairtrade at work というキャンペーンがあり、「職場でのフェアトレード」ということで、社員のユニフォームや食堂で働く人たちのエプロンなどに取り入れる事例もあります。
また日本でも、少しずつフェアトレード認証コットンへの注目が集まり、問い合わせも増えてきています。
最後に、世の中には様々な社会貢献活動がある中で、「フェアトレード」に着目していただいたことを改めてお礼申し上げます。

竹内:ありがとうございました。繰り返しになりますが、この取り組み自体は比較的ハードルが
低いのではと思っています。普段飲んでいるコーヒーをフェアトレードに替えることは若干のコストが上がるかもしれませんが、当社の社員も「いつも買っているものをフェアトレード製品へ替えれば良い」ということで、浸透しやすいと考えています。当社のフェアトレードの取り組みはまだまだこれからですので、さらに施策を進めて、この取り組みをきっかけに、当社の社員たちが日々の生活・ビジネスの中で自分たちは何ができるのかを考えるきっかけになればと思います。
さらなるフェアトレード製品の広がりに大いに期待しています。

FLJ:力強いお言葉を本当にありがとうございます。御社の取り組みが私共FLJにとっても良い刺激となりました。今後、1社でも多くの企業の方に知っていただき、取り組んでいただけるように頑張りたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。

☆ インタビューを終えて ☆
フェアトレード・ラベル・ジャパン
インターン生 藤澤 美波 (慶応義塾大学 総合政策学部 2年)

「フェアトレード導入のハードルは低い」、「普段通りでいいから入りやすい」。
このようなお言葉を自然とおっしゃっていたのが印象的で、とても心強かったです。普段から飲んでいるコーヒーをフェアトレード製品に切り替えるだけということが、あまり抵抗もなく受け入れてもらうための1つの大きな魅力であり、武器でもあることに気づきました。どんどんとこの点を発信していくことができれば、日本でも社内消費にフェアトレードを取り入れることが当たり前になるのも夢ではないと感じました。社員数も多く、グループ企業もいくつもある日本の大手企業が社内消費でフェアトレード製品を取り入れることは、非常に大きな意義があると再確認した時間でした。

NTTデータの皆様、ありがとうございました。