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インド:コットン生産者エコ・ネクターとカールゴン地区生産者向上組合(KKUS)

Eco Nectar & Khargone Krushak Utthan Samiti

「フェアトレードは私たちにより良い未来への希望を与えてくれました。」
(コットン生産者、PEB会長 アルジュン・ビルマン氏) 

はじめに

小規模生産者がフェアトレードの認証を受けるには、小規模生産者組合向けフェアトレード基準(包括的基準)を遵守する必要があります。基準では、生産者は各メンバーや地域の社会・経済発展に貢献できる正規の組合を組織化することが求められています。

しかし、この条件をまだ遵守できる段階ではない生産者でも、「契約栽培」の基準を満たしていれば認証を取得することができます。この場合、生産者は推進団体となる仲介組織(たいていは輸出業者やNGOなどがその役割を果たす)と契約を結ぶ必要があります。これらの仲介組織は、生産者たちが自分たちで組織を作り、うまく機能させていけるよう支援を行います。

背景と体制

エコ・ネクターは、有機認証を取得しているマンジートグループ系列の会社で、インドのコットン主要メーカーであり、コットン輸出業者でもあります。会社の主な活動は有機農業の推進と農民への有機栽培技術指導ですが、後進地域での経済的、社会的、そして教育の向上を推進しており、さまざまな形態で自家経営が行えるよう、女性に教育やトレーニングの機会を提供しています。

2007年3月、エコ・ネクターはKKUSを設立しました。組合員は有機生産の訓練を受けており、2008年にエコサートにより有機認証を受けました。カールゴン地区は、そのほとんどが中央インドのマドヤ・パラデシュの部族地域です。KKUSにはそのカールゴン地区サトプラ・ヒルの549人のコットン農家が所属しています。

組合員は26の部落からなる7つの村から集まり、さらに約15~20人のグループに分けられています。村々は辺ぴな丘陵地帯にあり、多くが森林地帯に近接しています。都市部からは遠く離れていて、近代設備はありません。道路状況もひどく、多くの農家は運搬のために4時間も歩いて登らなければなりません。そこは、以前は深い森林に覆われた山でしたが、今ではそのほとんどが破壊されています。そのため、農民たちは以前よりも森林破壊問題に目を向けるようになり、植樹活動を行っています。

KKUSの組合員のほとんどは読み書きができず、生活水準がとても低いため、同じ地域の他の農家同様、BPL(貧困ラインを下回る生活)だと正式に分類されています。地域にはきちんとした医療施設や教育施設といった基本的なインフラ設備が整っておらず、子どもたちは中等教育を受けるために長い距離を歩かなければなりません。また、衛生状態が悪く、清潔な飲み水が不足しています。特に夏の間は、気温が48度にまで達することがあり、家畜が大変な被害を受けます。

農民たちは翌年の作物の種を買うため、毎年資金を借りなければなりません。彼らはひと月に10~15%もの利子を請求する貸し金業者に、完全に依存しています。そして、収穫時期には中間業者に作物を安い値段で売るより仕方がないのです。そして、この流れが繰り返されていきます。

生産高と売上高

収穫期(3~11月) 2008~2009年 2009~2010年 2010~2011年
コットン総生産量 375トン 464トン 567トン
フェアトレード売上高 375トン 464トン 66トン
コットン在庫量 510トン

農家にとってコットンは主な換金作物ですが、他にも大豆、小麦、とうもろこしや豆類、そして野菜を育て、家畜も飼っています。団体で合わせて775ヘクタールの土地を所有し、461ヘクタールを使って綿花を栽培しています。個々の農家の土地は1、2ヘクタールと小規模ですが、収穫時期以外は家族労働に頼っています。収穫時期には、各村がお互い助け合い収穫します。実綿はエコ・ネクターが購入し、村の集配所から運搬され、綿繰り機で種と綿(わた)に分けられます。綿は圧縮され、梱包されます。

フェアトレード

FLOフェアトレードでは、生産コストを継続して賄っていくための最低価格と、それに加えビジネスや社会事業に投資するためのプレミアムが生産者に支払われます。さらに、生産者は契約価格の60%までの前融資を要求することができます。

フェアトレード原綿最低価格:0.38ユーロ/kg(有機栽培)、0.46ユーロ/kg(通常栽培)

フェアトレード・プレミアム: 0.05ユーロ/kg

KKUSは、新しい市場への参入機会やフェアトレード・プレミアムによる恩恵が動機となり、2009年3月にフェアトレード認証を受けました。生産物すべてをエコ・ネクターに売ることで、組合員たちは安定した価格で速やかに支払いを受けています。以前は、農民たちはコットンを牛の引く荷車に乗せ、15kmも離れた市場へと運ばなければならず、支払いは4週間から8週間も待つ必要がありました。

フェアトレード・プレミアムの使途

選出された生産者幹部組織(PEB)は、2ヶ月ごとに村の集会所で集まり、フェアトレード・プレミアムの使途を決めます。組合はこれまで地域の発展計画の資金として使うことに重点を置いてきました。

26の部落に飲料水を保管する密閉タンクが設置され、およそ5,000人の人々の役に立っています。以前は飲み水を得るために、村人たちは池や井戸、手押しポンプから2~10kmの距離を行き来していました。どの水場も、夏の間に水が枯れてしまうからです。さらに、水場には蓋がないので、動物によって汚染されやすく、不衛生でした。

その後、近隣の農家に給水できるよう接続された貯水槽が6つ、レンガで作られました。特に夏の暑い時期など、村人や家畜にきれいな水が緊急に必要になったときでも対処できるようになっています。

地域では宗教的な祭りがたくさん行われ、皆で食べる料理を提供し、温かいもてなしをするのが地域の伝統となっています。これまでは、隣村から料理鍋や台所用品、結婚式の招待客用の布団を借りたり、運んだりするのに、かなりのお金がかかっていました。そこで、フェアトレード・プレミアムを使って、台所用品と食器類に加え、マットレスと枕を購入し、部落ごとに支給しました。それらは、フェアトレードに関わっていてもいなくても、村人全員がわずかなお金で借りることができます。

一次医療施設のある村はわずかで、きちんとした医療器具を持ち、医者が常駐している施設はありません。一番近い病院は50kmも離れており、健康管理が重要な問題となっています。そこで、農民たちはフェアトレード・プレミアムを使って、最初の願いでもあったきちんとした医療キャンプを作りました。キャンプでは健康診断が無料で受けられ、当初は薬を200人分提供しています。

環境の改善と森林保護の推進を目的に、これまで約5,000本の苗木が地域住民に無料で配布され、植樹を奨励しています。

フェアトレード基準やフェアトレードの概念を農民たちに伝えるための勉強会が定期的に行われています。

今後のフェアトレード・プレミアム計画

  • 井戸の注水 ― 水位の低くなった井戸を再び水で満たすため、ドリルで細い掘削孔を開け、帯水層から水をポンプでくみ上げます。
  • きれいな飲み水を供給するための貯水槽の追加設置。
  • 雨水を貯めておく、ため池作り。
  • 学生のための奨学金制度と成人教育プログラム。
  • 農民のための生命保険と医療保険制度。
  • 小麦を挽くために女性たちが遠くまで行かなくてもすむように、共同の製粉機を6箇所に設置。
  • ミシンセンター ― 女性に収入をもたらします。
  • ミミズ堆肥計画 ― 農場での使用や、副収入のための市場販売用の有機肥料作り。
  • 現在行っている植樹活動。

出典:The Fairtrade Foudation(UK) 2011年5月
(翻訳:FLJ翻訳サポートチーム)

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