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環境破壊を削減するため、フェアトレード・インターナショナルはコーヒー基準を更新し、生産者と直接取引をする事業者*(主に貿易業者)に森林破壊の防止と監視、緩和の強化を義務付けました。
*ペイヤー(フェアトレード価格やプレミアムを支払う責任のある組織)とコンベイヤー(フェアトレード価格又はフェアトレードプレミアムをフェアトレードペイヤーから受け取り、それを認証生産者に渡す組織)に本基準が適用されます。
フェアトレード基準委員会で承認された今回の改定は、2023年6月に発効された欧州連合(EU)の森林破壊防止規則(EUDR)に適合し、一部ではそれを超える基準を定めています。
特に、改定された基準では2014年1月1日を森林伐採のカットオフ日とし、それ以降に森林伐採された土地でコーヒーを生産してはならないとしています。また、全ての農園に地理的位置の記録、4ヘクタール以上の農園にはポリゴンマップの提出が義務付けられています。
フェアトレード・インターショナルの気候・環境シニアアドバイザーであるフワン・パブロ・ソリス氏はコーヒー基準の改定は正しい方向への大きな一歩であり、重要であると説明しました:「私たちが気候危機の時代に生きていることは否定できません。農家や労働者にとって、気候変動の頻度や深刻さは、彼らの生活を脅かす人的、環境的リスクに大きくさらされていることを意味しています。気候変動が小規模農家の将来に直接影響を与えていることは明らかであり、世界の食料システムを大きく変えることがもっとも重要なのです。」
さらに、同基準はコーヒー小規模生産者組合に予防・緩和計画の策定を義務付け、フェアトレードが提供する衛星プラットフォームによって森林伐採のモニタリングの実施も義務付けています。
コーヒー基準を改定することで、栽培総面積110万ヘクタールとなる農家87万人を代表する600のフェアトレード・コーヒー小規模生産者組合が、欧州グリーンディールの一部であるEU森林破壊防止規則を満たすための指針と手段を得ることになります。
例えば、EU森林破壊防止規則は地理的位置のデータを要求していますが、フェアトレード基準はさらに踏み込んで、生産者組織はこの情報を収集し、生産者と直接取引をする事業者はそれをフェアトレードのシステムに報告し、さらに森林伐採を防ぐためにこれを生産者組織と共有することを要求しています。これは公平性の原則を示すものであり、環境保護の責任は関係者全員が負うべきものであることを意味しています。
またEU森林破壊防止規則のカットオフ日は2020年12月31日ですが、フェアトレードでは2014年1月1日です。つまり、EU規則では「2020年12月31日以降に森林伐採または、荒廃した土地で生産された商品でないこと」が求められていますが、フェアトレードでは2014年1月1日以降に森林伐採等がないことを基準とします。
さらに、フェアトレードはEU森林破壊防止規則の要求事項とは異なり、モニタリングやリスク評価だけではなく、生物多様性のモニタリングと管理計画も規定に定めています。
改定された基準は2026年から適用になり、生産者やトレーダーには適用開始に向け移行期間を設けています。
国際フェアトレード基準はフェアトレード・インターナショナルのスタンダード・プライシングユニットが主導し、農家や労働者を含む主要なステークホルダーの参加のもと、包括的かつ協議的なプロセスを通じて定期的に見直しがなされ、最終的にフェアトレード・インターナショナル基準委員会によって決定されます。3つのフェアトレード生産ネットワーク組織の代表を含むこの委員会は、全ての決定がステークホルダーの意見を考慮し、フェアトレード・インターナショナルのミッションと方針に沿ったものであることを保証します。
2024年2月12日
Fairtrade International
出典:https://www.fairtrade.net/news/coffee-standard-update-expanding-deforestation-prevention