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第24回フェアトレード・ラベル・ジャパン新事務局長 潮崎真惟子

2021/04/30(金)

第24回フェアトレード・ラベル・ジャパン新事務局長 潮崎真惟子

「新事務局長としての挑戦」


今回、2021年度から新しくフェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)の事務局長に就任した潮崎真惟子さんに話を聞きました。


潮崎さんは、一橋大学を卒業し同修士課程修了後、デロイトトーマツコンサルティングを経て、オウルズコンサルティンググループにてマネジャーを務め、今に至ります。コンサルタントとしては事業戦略立案などに加え、サステナビリティ・SDGs・人権関連のコンサルティングや政策立案、ルール形成戦略立案、人権デュー・ディリジェンス、NPO/NGO向けコンサルティングなどを多数担当。

フェアトレード・ラベル・ジャパンに対しては2018年から事業戦略立案等で継続的にプロボノ(無償支援)として連携してきた経緯があります。

F L Jの新しい顔である新事務局長に、対談形式でインタビューしました。

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インタビュアー:フェアトレード・ラベル・ジャパン

吉野彩夏(学生インターン 法政大学法学部国際政治学科3年)

取材日 2021年4月22日

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― 大学、大学院時代に国際協力や国際開発を学ばれていたそうですが、国際協力の分野に興味をもったきっかけは何だったのですか。


潮崎さん(以下、敬称略):特に大きな出来事があったわけではないのですが、小さい時から正義感のようなものが強い方でした。

マザー・テレサの本などを読んだときに、生まれた国によって将来の選択肢が変わってしまうことを知り、それに対して怒りのような感情を抱いたのを覚えています。

そこから国際協力の分野で働きたいと思うようになりました。

小さい頃はそれに対して何をすればいいのかわからなかったのですが、大学進学を考えるときに、途上国で貧困がなぜ起きているのかを学ぶ“開発経済”という学問の存在を知り、それを学ぶことができる一橋大学への進学を決めました。


― 大学時代はどんな勉強、ご経験をされましたか。


潮崎:大学と大学院では主に経済学と開発経済を学んでいました。貧困はなぜ起きるのか、どうしたら改善できるのか、貧困に対してどういう施策が有効なのかを勉強しました。また、学生時代には開発途上国の現地に多く行った経験があります。

例えば大学4年生の時に訪れたインドではコルカタから電車やバスを乗り継いで6時間程の場所にある農村に1人で滞在しました。そこでは現地の農家の方々の“自分が作っている農作物への誇り”を感じました。夕陽をバックに農作業に励む現地の方々のかっこいい姿が今でも目に焼き付いています。

国際協力の場では色々な支援の形があり、どれも必要なものではあるのですが、支援に依存してしまっている現場もあります。そこで、最終的には自立して自分の力で変えていけるように支援することが大事であると思うようになりました。

「自分で作ったもので自立して生活を立てていけるように途上国を支援する」ことに興味をもち、そのために農業生産性に関する研究なども学びました。他にもベトナム、フィリピン、カンボジアなどを訪れ、現地の方々にヒアリングを行ったり、現地企業を調査したりと現場の声を聞く経験をしました。社会に出てからは中東やアフリカにも足を運びました。

―大学院ご卒業後は、コンサルタントとして働かれていたそうですが、どんなお仕事をされていたのでしょうか。

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潮崎:ビジネスコンサルタントとして企業の事業戦略等を立案する仕事をしていました。
その中でも私の専門分野として、SDGsビジネス、サステナビリティ対応、人権対応などの案件を担当し、「いかに社会に貢献するか」「どう課題解決をしていくのか」などを考えることを通して企業が事業を見直すお手伝いをしていました。
コンサルティングを行う相手も、民間の大企業からNGO・NPO、また政府など様々で、NGOやNPOに対しては無償で事業改善案を考えたり、政府に対しては政策立案に携わったりしました。

― フェアトレードのどこに価値を感じるか、潮崎さんの考えを教えてください。

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潮崎:フェアトレードは、開発途上国で起きている色々な問題の根本原因を解決する大きな仕組みであると思っています。 途上国の貧困問題や環境破壊の原因は様々ですが、その根本原因の一つが「取引価格が適正でないこと」だと思います。
例えば児童労働に関して言えば、現在世界の子どもの10人に1人が学校に行けずに働いているという現状があります。
家計の収入が足りておらず、人を雇用するお金もない農家の方々は人手不足を補うために子どもに手伝ってもらうしか術がないのです。生産を持続的に行っていけるだけの対価が十分に払われておらず、生活が成り立たないためやむを得ず子どもを働かせています。こういった適正でない“ビジネス”が問題の大きな原因であり、このビジネスを変え、取引価格を見直さない限りは、どんなに別のところで支援を続けていても本当の解決に繋がらないと考えます。
そういった意味で、開発途上国の方々に適正価格での取引を行っているフェアトレードは、まさに問題の大きな原因であるビジネスを変えることに寄与しており、フェアトレード製品を選ぶことは開発途上国の問題を解決するための一歩だと思います。

― 新事務局長として今後どんな挑戦をしていきたいですか。

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潮崎:「点と点を結ぶような取り組み」をしていきたいと考えています。
フェアトレード製品やエシカル製品は日本でも少しずつ各団体・企業での取り組みが増えているものの、まだまだ小さな取り組みで消費者の目に留まるまでに至っていない状態です。各団体・企業ごとの取り組みを、点と点を結ぶように一緒にやっていくことで、例え一社にできる範囲が限られていたとしても、それが集まることで大きなインパクトを生むと考えています。企業間、団体間の競争を一旦置いておいて、“フェアトレード”という共通点で一丸となって消費者に知ってもらえるような取り組みを進めていきたいです。
また、消費者の方々に対してもフェアトレードのイメージを変えていきたいと思っています。フェアトレードに関して、「慈善活動としてボランティア的に買うもの」といったイメージがあるかもしれません。でもこれからはそうではなくて「おしゃれで美味しい、品質の良いもの」として知ってもらいたい。
無理して買うのではなく、おしゃれだから、美味しいからといったポジティブなものとして自発的に選択して買うものというイメージに変えていきたいと思っています。

― 5月はフェアトレード製品を扱う企業や団体、消費者が一丸となって参加する“フェアトレード月間”です。フェアトレード月間への意気込みをお願いします。

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潮崎:今回、企業横断的な大規模キャンペーンを行うのは10年ぶりということで非常にチャレンジングなものです。
多くの団体・企業にご協力いただいているので、各団体の取り組みを生かしてフェアトレード製品を身近に感じてもらえるようなキャンペーンにしたいです。
本キャンペーンを通じて、今までフェアトレードを知らなかった人にも知ってもらい、興味を持ってもらえるように大きく広げていきたいです。また、各企業、団体の方にも参加してよかった、フェアトレードをもっと伝えたいと思ってもらえたら嬉しいです。

インタビューを終えて

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潮崎さんの学生時代、コンサルタント時代のお話、フェアトレードに関するお話などをお聞きする中で、潮崎さんの「途上国の問題をどうにか解決したい」という真剣な思いが伝わってきました。
現地に訪れ、様々なご経験をされた中で抱いた“現地の方々への思い”が今の原動力に繋がっているようです。日本ではなかなか途上国の貧困問題について直接考える機会がなく、問題意識を持ちにくいですが、フェアトレードが世界の問題を知るためのきっかけになれば良いと思います。
潮崎さんは、日頃から私たちインターンの提案も真剣に聞いてくださり、活動に関してアドバイスをくださいます。今後も潮崎事務局長と共にフェアトレードをもっと広められるような活動をしていきたいです!
潮崎さん、お忙しい中インタビューにご協力いただきありがとうございました。

5月フェアトレード月間とは?

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5月の第2土曜日は「世界フェアトレード・デー」と呼ばれ、世界中で一斉にフェアトレードに関するイベントが行われます。これに合わせて、日本でも5月は「フェアトレード月間」と呼ばれています。
2021年は日本全国でフェアトレードに関する「商品購入」「SNS投稿」「イベント参加」などで合計100万アクションを目指す「ミリオンアクションキャンペーン」を実施します。この機会に多くの方にフェアトレードを知り楽しんでいただけるよう、日本全国でお店やレストラン、企業、学校、自治体等も参加して、様々なイベントや仕掛けを用意しています。
是非、一緒にご参加ください!

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フェアトレード・ラベル・ジャパン公式ホームページ
https://www.fairtrade-jp.org
キャンペーン特設サイト
https://fairtrade-campaign.com



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