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近年日本でも注目の産地といわれるペルー産フェアトレード認証コーヒーの魅力をお伝えし、フェアでサステナブルなペルー産スペシャルティコーヒーを体感してもらうことで、日本市場での取引を広げていくことを目的に、今年7月24日、フェアトレード・ジャパンは、ペルー大使館商務部との共催でカッピングイベントを開催しました。
当日は、フェアトレード認証コーヒーの輸入や製造に携わる企業を中心としたコーヒー業界の方々にお集まりいただき、世界各国で展開されているフェアトレード認証コーヒー品評会「GoldenCup」のペルー大会でファイナリストに選ばれた生産者らのフェアトレード認証コーヒーなど全12銘柄をカッピングいただきました。
また、このイベントのために来日した中南米フェアトレード生産者ネットワークCLACのコマーシャルディレクターJoao Mattos氏とペルーのフェアトレード認証コーヒー生産者組合CenfrocafeのジェネラルマネージャーJavier Cahuapaza氏から、現地の様子をお伝えしました。
■ 注目の産地。アンデス山脈に囲まれ多様な気候で育つペルー産コーヒー
今回ペルーから届いたスペシャルティコーヒーは、フェアトレード認証コーヒー品評会「GoldenCup」ペルー大会でファイナリストに選ばれた生産者によるコーヒーが中心です。GoldenCupは、世界各国で展開され、サステナビリティに利する取組みとして、国際機関や各国政府機関などから高く評価されています。冒頭、ロベルト・セミナリオ駐日ペルー共和国特命全権大使から「コーヒーはペルーの5大主要農作物の一つでとても重要な産業です。ペルーコーヒーの味わいや酸味など、他の国にはない魅力をぜひ知ってほしいです。」とご挨拶をいただき会はスタートしました。
続いて、ペルー大使館商務部からペルー産コーヒーの魅力を詳しくご紹介いただきました。
フェルナンド・アルバレダ氏(在日ペルー大使館商務部 商務参事官)
「アンデス山脈のあるペルーには、世界にある117の微気候のうち84があり、その特徴ある地形がスペシャルティコーヒーの多様性を作り出しています。ペルー国内では22万3000世帯がコーヒー生産に関与しており、そのほとんどが小規模生産者で、42万5000ヘクタールの農園を管理しています。
ペルーのコーヒー生産量は世界第10位ですが、オーガニックのコーヒーは世界第2位を占めています。また海外の様々なコンテストで受賞しており、世界中で高評価を頂いています。
主要な輸出先はヨーロッパや北米で8割以上を占めており、輸出額はアメリカが約2億3170万ドル、ドイツが約1億5000万ドルです。日本には約4,000t、総額1770万ドルを輸出しています。ペルーから日本に輸出されるコーヒーの大半がコモディティコーヒーですが、近年では、認証を取っているスペシャルティコーヒー(オーガニック、フェアトレード等)を探している企業が増えています。これは消費者のサステナビリティに対する考え方が高まってきていることが背景にあります。ペルーの独特のエコシステム・生態系が生み出す風味・香り・酸味等、多様性に富んだコーヒーをぜひ知っていただきたいです。」
続いてフェアトレード・ラベル・ジャパン シニアディレクター中島佳織よりフェアトレードコーヒーについて発表させていただきました。
中島佳織(フェアトレード・ラベル・ジャパン シニアディレクター)
「フェアトレードの市場は年々拡大しており、昨年2023年の段階でフェアトレード認証製品の市場規模は200億円を突破しました。その8割以上がコーヒーです。市場が拡大している背景には、SDGsや「ビジネスと人権」への流れがあります。サプライチェーン上における環境と人権のリスクをいかに減らしていくかが企業の日々の課題となってきていますが、フェアトレードという仕組みの活用が、気候変動や人権、生物多様性の保全など様々な課題解決に繋がるとして、フェアトレードへの取組みが増えています。
また直近の動きとしては、食品業界だけでなく、金融、運輸など多様な産業・セクターにおいて、自社のコーヒーをフェアトレード製品にする、ユニフォームにフェアトレード認証コットン製品を使用するなどの動きが広がっています。
また、フェアトレード全体では、認証という仕組みの運営だけでなく、グローバル規模で各種サステナビリティプロジェクトを展開し、生産者組織へのサポートをしています。特に品質向上のために展開しているのが、フェアトレード認証コーヒーに特化した品評会GoldenCupの開催です。この後、CLACのJoao Mattosよりその取り組みについて詳細をお伝えさせていただきます。」
Joao Mattos氏(中南米生産者ネットワーク団体(CLAC)コマーシャルディレクター)
「私たちはペルーコーヒーの品質向上に向けてたくさん投資してきています。その一つがGolden Cupです。ペルーでは3回開催しており、地区予選を経て今年も10月に開催します。Cupof Excellenceとの違いとして、Golden Cupでは、生産者と買い手との間の直接的で長期的な付き合いを広げていきたいため、競売の方法は取っていません。GoldenCupには、より品質が高く、少量取引が可能な「マイクロロット」部門と、コンテナ単位で購入可能な「フルコンテナ」部門の2つのカテゴリがあります。
ペルーのフェアトレード&オーガニックコーヒーの輸出量はエチオピアに次いで世界2位です。またコモディティコーヒーもたくさんあり、ペルーは非常にポテンシャルが高い国です。
2022年におけるペルー産コーヒーの日本への輸出量は12位ですが、2017年から2022年までで成長率14%と最大の成長を遂げており、今後も増えていくことが予想されます。」
Javier Cahuapaza氏(Cenfrocafe ジェネラルマネージャー)
「CENFROCAFEはペルーの生産者組合です。220名の小規模生産者によって1999年に設立され25年が経ちました。当時220名の生産者から始まり今は2796名の生産者が所属しています。その内364名が女性の生産者です。
私たちCENFROCAFEは今後30年先のコーヒー生産を考え、持続可能な生産のために研究センターも持っており、32の品種を研究対象としています。自社のラボは5か所あり、クオリティコントロールを行っており、Qグレーダーもいます。世界各国の認証を取得し対応しています。
ペルーにおけるフェアトレードの協同組合は、1995年当時12しかありませんでしたが、今は244まで増えています。ペルーのフェアトレード協同組合の役割としては、生産者の収入安定、価格安定のために重要な役割を果たしています。
ペルーは北部南部中部と素晴らしい品質のコーヒーが作られています。素晴らしいクオリティを保って世界の中でシェアを確立してきました。
今後も世界中の様々なマーケットに対して品質を保ちお届けしていきます」
続けて、今回のメインイベントであるカッピングが行われました。ペルーの主要コーヒー産地であるカハマルカ、パスコ、フニンから、カトゥーラ、ゲイシャ、ブルボン、ピンクブルボンなど、多様な品種、異なる精製方法によって生産された12銘柄をカッピングいただきました。
カッピングに参加いただいた皆さまからは、
「香り高く全体的にレベルが非常に高い」「甘味も酸味もあって非常に美味しい」「華やかなフレーバー」「程よい甘さがあり、すっきりクリアなアフターテイスト」といった高評価のコメントをいただきました。ペルー産フェアトレード認証コーヒーの魅力を存分に体感いただくことができました。
フェアトレード・ジャパンでは、今後もこのような取組みを継続し、産地と市場を繋ぐ役割を果たしていきたいと考えています。