2024年8月までフェアトレード・ジャパンにてインターンをしていた田中理歩と申します。
現在はフランスのパリ第一大学大学院にて開発経済学を勉強しています。
今日はフェアトレード・ジャパンではどのようなインターン生がいるのかを知っていただきたく、私が国際協力やフェアトレードに興味を持ったきっかけ、フェアトレードでのインターンの話などをさせていただきます!
■ なぜ国際開発に興味を持ったのか?
「人の役に立ちたい」というのは幼少期に過ごしたイギリスでの経験がベースになっていると思います。チャリティ活動が盛んなイギリスでは学校の行事もチャリティが目的のものが多く、街中にも募金箱がたくさんあり、9歳の頃には自らイベントの企画などもしました。これらを経験し、「助けが必要な人のために何かをする」ことが自然と当たり前になっていました。
国際開発に興味を持ったのは、高校2年生の探求の授業で見たドキュメンタリー映画にて子どもたちが鉱山で働いているのを見て衝撃を受けたことがきっかけです。その後ファッション業界ではコットンの生産や縫製工場などで児童労働が問題視されていることを知りました。洋服や手芸が好きだったため、自分の好きなことと社会課題を合わせファストファッションにおける児童労働問題について友人と2人で探究を進めました。
探究のプレゼンイベントに参加した際に、大学教授や集まった他の参加者にこの問題について初めて知ったと言われ、興味を持ったからにはこれについて何かすることが私の使命なのだ!と思い、将来は子どもを児童労働から守る仕事をしたいという目標を持ちました。
それ以降、大学で受講した開発経済学での開発政策の計量的分析にとても惹かれ、現在は大学院にて開発経済学を勉強しています。
■インターンのきっかけ
インターンを始めたきっかけは、大学院でフランスに行き、開発途上国中心の勉強を始める前に問題の反対側にある日本でのビジネスや消費者における国際開発への関心度を知りたいと思ったからです。以前児童労働を中心に取り組むNGOにてインターンをした経験があったので、他の課題についても知りたいとも思っていました。また、高校生の頃のプレゼンで結論とした解決策が「ファッション分野にも認証ラベルを作ること」だったので、認証ラベルの可能性については関心がありました。開発途上国現地と日本の消費者やビジネスの真ん中にたち認証ラベルを扱うフェアトレードには私の好奇心の全てが詰まっていました。
■インターンを通じて
フルタイムで8ヶ月やらせていただいたため、広報活動や事務作業だけでなく、開発途上国現地の農家さんとのお仕事、POPUPでの実際の接客、日々のスタッフの皆さんとの関わりなどからたくさんのことを学ばせていただきました。
農家さんの来日時や、オンラインでのインタビューなどで今まで論文や本の中の存在であった彼らから直接聞く現状はさらにひどい場合もあり、何代も続いていた農園が気候変動で枯れてしまったり、気候が変わってしまいコーヒーの実の成長を予測しづらくなっている、副業をしないと生活が成り立たないという現実など、文字で読むより遥かに胸に響きました。このような現状があるにも関わらず、彼らが誇りを持って自分の作物や仕事の話をしていたことも印象的であり、誇りを持っている農業から離れなければならない人もいる現状を改善する必要性を改めて感じました。
今年のフェアトレード月間のテーマであった気候変動は私の研究興味である児童労働と直接関わりのある話ではなかったものの、無関係ではありませんでした。気候変動等により農家の収入が不安定であるという状況は、子どもが労働に従事する要因にもつながりかねず、子どもたちにとっても好ましい状況では全くありません。この経験を通じて、これまで学んできたことと現実の課題とのつながりを実感し、子どもだけを見ていてもダメだと視野が大きく広がりました。
また、フェアトレード・ジャパンの事務局やその他イベントなどたくさんのカッコイイ大人の皆さんともお会いすることができました。フェアトレードや国際開発というものに対して、みなさん多様な分野から関わっていたり、ここまでの道筋も国際開発一筋の方や全く違う職種から来られた方などさまざまな方からお話を聞いたことで、自分の将来への視野が広がったほか、将来自分がこうなりたいと目標に持てる方にもたくさん出会うことができました。
たくさんの経験に加えて一つ一つの業務にも丁寧にご指導いただき、自分のキャリアの軸になるようなとても貴重な経験をさせていただきました。
私は農家さんの来日の際にお会いしたNAPPやCLACの方のように現地の農家さんとに関わるお仕事に惹かれたので、当初の目標であった開発政策の分析に関わるキャリアが自分のやりたいことなんだと改めて感じることができました。
フランスに来てまだ3週間ほどですが、スーパーでのフェアトレード認証商品の取り扱いの多さに驚いています。コーヒーやお茶、チョコレートはもちろんのこと、ジュースや缶詰、お米、砂糖など日本ではあまり見かけない製品でもフェアトレード認証のものが見られます。そして何よりこれらが小さなスーパーや低価格帯のお店にもあり、フェアトレード製品が日常に浸透しているのを日々実感しています。
(パリがフェアトレードタウンだからかもしれないので、フランスの他の地域を尋ねた際にはまたフェアトレードハンティングをし、現役のインターン生にレポートしようと思います!)
大学院のプログラムは20カ国以上の国から学生が集まっており、実際に開発途上国途上国で育った人も多く、彼らとの会話の中で新しいことを学ぶ日々です。また、院の友達を通じ、実際に家族がコロンビアでコーヒー農家をしている方にも出会い、フェアトレードでの活動中に学んだ問題などについてもお話をしました。そしてバリスタである友人に彼女の家族の豆を使っていれてもらったコーヒーは、とてもフルーティーで今まで一番美味しいコーヒーでした。中央、南アメリカ出身の生徒が多いので、インターン中に触れることの多かったコーヒーの知識が思いがけないところで活躍しています。
■最後に
社会課題というと難しく感じたり、遠い存在のように思われがちですが、私のように「自分の好きなことで誰かが辛い思いをしないように」というシンプルな思いを持って行動する人が増えていけば良いなと思います。最初は無理のない範囲で、小さなアクションから始めれば十分だと思っています。
10個買うチョコのうち1つをフェアトレードにしてみる。
パッケージが可愛い商品がフェアトレードだったから買ってみる。
友人とのお茶会をフェアトレード商品を扱うカフェにしてみる。
キッチンの奥に埋まっている缶詰をフードバンクに寄付する。
猫が好きだから保護猫のボランティアに参加する。
私がイギリスで学んだのは誰かのために動くときには、自分にも得があってもいいということです。特別な日に制服を着ずに登校する代わりに寄付をする、イベントの参加費が寄付になる、1ポンド寄付するとピンバッジがもらえるなど何かお互いに得があるからこそ、彼らは持続的な行動ができるのだと感じます。
フェアトレードも同じで、消費者と生産者がwin-winの関係にあります。例えば、フェアトレード・プレミアムは、コミュニティが本当に必要としているものを民主的に決定し、それらに使えるという点で生産者に大きなメリットがある一方で、農薬の使用制限や環境保護、品質向上にもプレミアムは使われるため、私たち消費者も将来にわたって安心して質の高い産品を楽しむことができます。また、海外の商品も多いため、パッケージが可愛いものが多いのも私としては大きなポイントです。
すでに勉強に追われ周りのレベルの高さに圧倒されている毎日ですが、インターンを通じてお会いしたカッコイイ大人の皆さんとまたお仕事をできるように頑張りたいと思います!
▲フェアトレード・ジャパンのスタッフさんがフランスに遊びに来てくれました!
▲ビオセボンのチョコレート売り場にはフェアトレード認証商品が沢山ありました!
▲フェアトレード・ジャパンのインターンと(一部)。
渋谷スクランブルスクエアのPOP-UPでは、事前の企画から、当日の接客などみんなと切磋琢磨し形にしたのも良い思い出です!