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欧州委員会「人権と環境のデューディリジェンス(HREDD)」規制案とフェアトレード

2022/06/04(土)
【出典】Nyokabi Kahura (Fairtrade International)


・2月23日、欧州委員会は、EU市場へ輸出する大企業に対し、「人権と環境のデューディリジェンス(HREDD)」に関するEU全体の規制案を提示しました。これは、企業、またはそのサプライチェーンが人々や環境に与える深刻な悪影響を削減し是正するよう求める規制案で、農民や労働者の人権の大幅向上が見込まれます。フェアトレード・インターナショナルは、同規制案を高く評価しています。

※対象となる大企業の定義は「EU域内で設立された企業のうち、(a)全世界での年間純売上高が1億5,000万ユーロ超、かつ、年間平均従業員数が500人超の企業、(b)全世界での年間純売上高が4,000万ユーロ超、かつ、人権・環境の観点からハイリスクと指定された繊維、農林水産、鉱業などの分野の売上高が年間純売上高の50%以上を占め、さらに年間平均従業員数が250人超の企業だ。」(JETRO, 2022)。



・画期的な規制案であると評価する一方で、フェアトレード・インターナショナルは、規制の定義が曖昧である点から、脆弱な農家や労働者がサプライチェーンから排除されることを危惧しています。



・具体的には主に次の2点を指摘しています。一点目は、「確立されたビジネス関係」のみを対象にしている点です。長期的な関係を避け、短期的にサプライヤーと取引をする企業は、結果的に人権や環境問題を無視し続けてしまう可能性があります。二点目は、欧州のバイヤーが、サプライヤーが深刻な人権・環境問題の解決に苦戦している判断した場合、いつでもビジネス関係を切ることができる点です。こうしたサプライヤーと一緒に課題に取り組むことが、本質的な課題解決に繋がると考えられます。しかし、取引から簡単に排除してしまうこの規制案では、課題は解決されず本来の目的である、弱者の支援、という点を逸脱してしまう可能性を孕んでいます。



・児童労働、強制労働、森林破壊などの深刻な問題は多くの社会的・経済的要因に起因するため、小規模農家含めて様々な視点に立った議論が必要だと考えられます。



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【出所】
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Fairtrade International 「Making Sense of the EU’s HREDD Proposal - A Conversation with Fairtrade’s Dr. Tytti Nahi」(記事発行日:2022/02/24)
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JETRO「欧州委、人権・環境デューディリジェンスの義務化指令案を発表」(記事発表日:2022/02/28)
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