2016年 国際フェアトレード認証製品の世界市場規模発表 78億ユーロへ
2017年10月12日、Fairtrade Internationalより最新の年次レポート “Creating Innovations, Scaling Up Impact” が発表されました。
◇ 2016年 国際フェアトレード認証製品の世界市場規模
2016年、世界73ヶ国、1,411以上のフェアトレード認証生産者組織を通じ、国際フェアトレード認証のしくみに参加する小規模農家・労働者は160万人以上に上っています。 貿易量に応じて輸入業者から各生産者組織に直接保証されるフェアトレード・プレミアムは、1億5000万ユーロ(約180億円以上)と過去最高額に達し、開発途上国の生産者・労働者の生活の 質の向上や地域社会全体の改善に活かされています。
Fairtrade Internationalは、1997年の設立から20周年を迎えました。この間、フェアトレードは、ニッチな取組みから世界中に広がるグローバルな取り組みへと発展してきました。 世界130か国以上で流通する国際フェアトレード認証製品の推定市場規模は、2016年、約78億8千万ユーロ(約9470億円以上 – 2016年平均為替レート)に達しました。特にカカオは、 世界的なサステナビリティ対応へのニーズの高まりもあり、販売量が対前年比34%増と大幅に伸長したほか、主要プロダクトであるコーヒー(対前年比3%増)、バナナ(対前年比5%増)、 砂糖(対前年比5%増)、茶(対前年比5%増)も堅実に成長しています。
日本での2016年市場規模は、対前年比13%増の113億6千万円まで拡大しました。各社が製品数・取扱産品カテゴリーや販売先を増やしたり、キャンペーンなどの積極的な販売促進 を展開した結果、特に、コーヒー(販売重量ベース対前年比15.7%増)、カカオ(26.8%増)、コットン(27.6%増)が大きく拡大しました。またこの1-2年の傾向として、個人事業主、小規模事業者 (年間事業規模が1億円以内)の方々からの認証参加への問い合わせが増えています。世界中の生産者・労働者と繋がるグローバルな仕組みとしての国際フェアトレード認証への共感、第三者認証 という客観性、プレミアムによる生産地への効果などから、認証取得を検討する事業者が増えています。
しかしながら、世界的に見ると、フェアトレードを取り巻く社会的、経済的環境は、フェアトレード市場が急速に拡大した1990年代とは大きく変化してきています。近年、企業の中には 、サステナビリティへの取組みとして、独立した客観的な第三者基準・第三者認証の活用から、企業独自の自社基準・自社プログラムをつくる傾向がみられます。 Fairtrade Internationalでは、この変化に対応し、これまでの基準・認証制度に加え、サプライチェーン上にある児童労働や人権などの課題解決を促す新しいプログラムの提供を目指しています。 Fairtrade Internationalの事務局長、Dario Soto Abril氏はこう述べています。「私たちは、2020年までに、より多くの小規模生産者・労働者が、人間らしい生活を実現する生活賃金(living income・living wage) を手にすること目指した新しいグローバル戦略を掲げ、市場の拡大と生産者の エンパワーメントに取組みます。同時に、貿易が人々に幸せと繁栄をもたらす21世紀にすべく、企業や政府とも協力し、 ときに要求もしながら進んでいきます。」
Fairtrade International 年次レポート2016-2017“Creating Innovations, Scaling Up Impact”(英文)