第26回 小川珈琲株式会社
「おいしいコーヒーを提供しつづけることで持続可能な社会を目指す」
今回は小川珈琲株式会社の名久井様、宮武様、岩崎様にお話しをお伺いしました。
長年フェアトレードに取り組まれ、2019年にはフェアトレード・ラベル・ジャパンからその取り組みを表彰させていただいた小川珈琲株式会社様。
持続可能な事業や独自のフェアトレードの取り組みについてインタビューさせて頂きました。
インタビュアー
フェアトレード・ラベル・ジャパン
梶谷真央(学生インターン 関西学院大学総合政策学部国際政策学科4年)
―小川珈琲株式会社とは?
1952年からコーヒーづくりを始め、 “京都のコーヒー職人”としての誇りをもってその審美眼と腕を磨き、世界に通じる「本物」の味わいをたえず追求されている企業。
直営店10店舗やスーパー・生協などで商品が取り扱われており、「コーヒーを嗜好品でなく、日常にとってかけがえのないものにする」という理念のもと全国各地に日々の感動を生み出しています。
本物の価値を追求し、「珈琲文化を未来につなぐ」ために生産者との会話を大切にしており、生産国にとっての幸せやコーヒー栽培における環境問題に向き合うことで、持続可能な生産方法を積極的に取り入れ、おいしいコーヒーを提供しつづけています。
―商品開発から導入までのプロセスにおいて大切にされていることは何でしょうか。
コーヒーとは、コーヒーの木になるコーヒーチェリーと呼ばれる果実から豆を取り出し、乾燥させることで生産される、
加工工程の少ない製品です。
そのため、原料の品質、出来が最終製品に大きく影響します。コーヒーチェリーの生産地やその年の収穫の具合によって、
コーヒーの品質に大きな違いが出るのです。
安定した品質の商品を提供するため、バイヤーが現地に出向く機会を設け、「生産者と直接話をする」ことを大切にしています。
また、新しくコーヒー生豆を契約する際は数年に渡り、品質を見極めることで、
私たちが求める品質の良い豆を持続的に生産し調達しています。
―フェアトレードや有機JAS、バードフレンドリー®などの様々な認証を早くから導入されていますが、導入のきっかけは何だったのでしょうか。また当時の社内の反応についても教えていただけますか。
「おいしいコーヒーづくりには、農園の品質が大切。」
農園の品質・持続性を高めるためには人間や環境になるべく負荷がかからないような生産が必要であり、自然のちからを活用することが欠かせません。
小川珈琲として安定的に良質な商品を販売するために「農園の品質を守り自然環境を守る」必要性を感じており、その考えと一致するものとして認証制度導入への取り組みが始まりました。
しかし導入時は今から20年程前。
認証制度に関する認知度は世間をはじめ、社内でも高くありませんでした。
そこで、「安定的においしいコーヒーを販売しつづけるなかで、認証制度がどう関わっているか」について社員の理解を深めるために社内セミナーやフェアトレード月間などの企画を実施しました。
社内でオーガニック野菜を使ったカレーを提供する取り組みなど、おいしく認証について知ってもらう仕掛けも行っています。
―商品の1つの付加価値でもあるフェアトレードについて消費者の方に知ってもらうため、どのようなお取り組みをされていますか。
「いつも飲んでいる小川珈琲のコーヒー。パッケージを見るとフェアトレードだった。」
フェアトレードをお客様に知ってもらうために主に2つのことに取り組んでいます。
1つ目はフェアトレード強化月間を設けること。2つ目においしいコーヒーを提供しつづけることです。
フェアトレード強化月間では、例えば今年5月は直営店で国際フェアトレード認証の有機アールグレイティー使った新メニューを提供し、お客様にもフェアトレードを認知してもらえるように取り組みを進めました。
また、私たちがおいしいコーヒーを販売し、継続的に購入していただく中で「パッケージをよく見ると認証マークが付いていた」と認証に気付いてもらうことも重要だと考えています。
品質が良く、味もおいしい国際フェアトレード認証を取得したコーヒーは年々売り上げが伸びています。決して値段も安くはありませんが、認証のついたコーヒーの中でもフェアトレードのコーヒーは人気がありよく売れています。おいしさを起点に小川珈琲を知ったことで認証制度についても知ってもらう機会を創出することも大きな役目だと感じています。
―今年、約10年ぶりに再開した5月のフェアトレードミリオンキャンペーンについて、ご参加いただいた感想をお聞かせいただけますか。
今回のフェアトレードミリオンアクションキャンペーンは、様々な企業が参加することで、1社で取り組むよりも規模が大きくなり、
より多くの消費者の方に知っていただく効果的な機会になったと思います。
小川珈琲としてもキャンペーンについてSNS発信した際の反響も良く、店舗でキャンペーンのPOPを設置したことでよりお客様に
分かりやすく伝えることが出来ました。消費者に対して実際にアクションを起こしてもらうことが狙いということも非常に
重要だと思っています。
色々な場所でキャンペーンについて掲示することで、「他のお店でも見かけたフェアトレードのマークだ」と
お客様にも気づいていただき、企業同士の相乗効果も生まれると思います。
キャンペーンを通してフェアトレードを付加価値として消費者に認知してもらうきっかけになれば良いと思います。
来年以降も是非参加させて頂きたいです!
インタビューを終えて
インターン小川珈琲様にインタビューさせて頂く中で「おいしいコーヒーを提供し続ける」という熱意を感じました。
会社の製品を誰よりも愛し、自信を持っているからこそ小川珈琲を未来に繋ぎたい。そのために事業が関わる社会問題に真摯に向き合い、対策に取り組まれていました。
企業にとって、社会問題に向き合うことは当たり前に出来ることではないと思います。だからこそ、消費者が商品の裏側や社会問題に意識を向ける必要があると感じました。
消費行動においてエシカルやサスティナビリティが注目されている中、「フェアトレードである」ということが価値として認知されていくために、
フェアトレード・ラベル・ジャパンの役割があるのではないかと改めて感じることが出来ました。
<小川珈琲様のキャンペーンご紹介>
「美味しいコーヒーを消費者に届けること、誰もが選ぶだけで簡単に世界に貢献できるコーヒーがあることを、少しでも多くの人に知ってほしい。
そんな思いを込めて「コーヒーの詩」というYouTube配信を使ったキャンペーンを行います。詩人の文月悠光さんが紡いだ言葉を、夏木マリさんが朗読。
「コーヒーの詩」特設サイトにてYouTube動画もございますので、ぜひご覧ください。
「コーヒーの詩」特設サイト
https://www.oc-ogawa.co.jp/cp/coffee-no-uta2021/