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【インタビュー記事】第28回 中国のフェアトレード茶生産者「フェアトレード・プレミアムがもたらす農業改善と地域福祉の充実」

2024/08/09(金)

2024年3月に中国からフェアトレードのお茶生産者さんが来日されました。

主な来日目的は、東京ビッグサイトで行われたアジア最大級の国際食品・飲料展示会である「FOODEX JAPAN/国際食品・飲料展」を訪れ、日本の市場を学び、今後の生産や取引に生かしていくこと。また展示会訪問のあとには、フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)の事務所を訪問していただき、FLJスタッフたちとの意見交換・情報交換を行いました。

今回のインタビューで最も印象に残ったのは、フェアトレード・プレミアムの重要性でした。ほとんどの質問の返答にプレミアムが関係しており、多くの生産者がプレミアムを活用して、農業の改善だけでなく、コミュニティ全体の福祉にも貢献するなど、その影響の大きさに驚きました。

また、ヨーロッパ市場でのオーガニックやフェアトレード製品の需要が高く、生産者がその要求に応えるために努力している様子も印象的でした。彼らが複数の国際認証を取得し、世界のニーズに応じて行動していることから、日本市場でもフェアトレード製品の需要が拡大することを期待しています。

それではインタビュー内容をご覧ください。


来日した中国のフェアトレード茶生産者の皆さんをFLJスタッフが国際食品飲料展FOODEX JAPAN 2024にご案内しました。

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インタビュアー:フェアトレード・ラベル・ジャパン
田中理歩 (学生インターン・(取材当時)国際教養大学 国際教養学部 4年)
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中国にはお茶をはじめとし、ピーナツやコーヒー、生姜など、フェアトレード認証を取得した30の小規模生産者組織、そして30のトレーダーがいます。今回生産者さんと共に来日されたJunさんが、生産者をサポートするアジア太平洋フェアトレード生産者ネットワーク(団体名略称:NAPP*)のスタッフとして、中国の生産者を1人で担当されています。

*NAPP: Fairtrade Network of Asia & Pacific Producers Fairtrade International のメンバー組織のひとつで、アジア・太平洋地域のフェアトレード生産者をサポートするネットワーク組織

Q.なぜフェアトレードをはじめたのですか?

ドイツなどの海外の顧客から求められたことをきっかけにNAPPのコンサルタントに連絡をし、徐々に開始しました。

多くの生産者は、オーガニック認証など複数の国際認証を取得しています。オーガニックなどの認証を活用して海外の顧客との関係を築く中で、さらに国際フェアトレード認証を求められることが多いです。特にヨーロッパ市場でよく見られる傾向です。小規模農家たちが輸出用に生産する茶葉の90%はオーガニックだと言われています。

それと同時に特にフェアトレード・プレミアムに惹かれました。  国際フェアトレード認証では、買い手によるフェアトレード・プレミアムの支払いが義務となっていることが大きな特徴です。プレミアムの支払いがあることにより、私たちもフェアトレードに対して前向きに取り組むことができます。医療やその他トレーニングなど、より良い農業を進めるための資金としてプレミアムを活用しています。また、政府が大規模プロジェクトに多く取り組む一方で、コミュニティレベルの節水施設などはフェアトレードプレミアムによって賄っています。

中国のフェアトレード茶生産者の皆さんによる作付け・収穫の様子

Q.他にもインパクトはありましたか?

初めは正直プレミアムにのみ強く惹かれていましたが、10年以上フェアトレードを続けた今となっては、基準も厳しくなり、ジェンダー平等や気候変動などのトレーニングも通じて、SDGsなども意識するようになりました。


(事前資料から)

今回来日された生産者組織では、フェアトレード・プレミアムを使用し、肥料や新しい器具の購入、農家へのトレーニング、防風林の植栽などといった農園に関わるものだけに限らず、深刻な病気の救済や学校への寄付、道路の補修、老人会への寄付など周りのコミュニティの貧困緩和にも活用されています。

プレミアム資金を活用して、地域や生産者組合のインフラ整備・改善へコミュニティの道路整備(左)、組合の備蓄倉庫の設置(中央)、茶葉加工マシーン整備(右)

Q. 10年以上継続されているとのことで、年数を重ねると、より多くの国際フェアトレード基準が適用されるなど厳しさも増すと思いますが、それらは負担になっていますか?

厳しくなると基準に向けてより多くの準備をする必要はありますが、長年続けていると慣れてきますし、SDGsについての理解も深まり、より自発的な活動につながっています。もちろん厳しくなると辞める方はいますが、それは各自の費用対効果の判断によると思います。農家は利益がないとやりません。ただ、プレミアムの支払いが買い手側の義務となっている点や、コンサルタントがおり、トレーニングや海外展示会への出展や視察などの支援があることが、国際フェアトレード認証にしかない強みだと思います。

プレミアムを活用し、専門家を招いて農地管理や栽培管理などを学ぶ様子(写真左)プレミアム資金の使途は、農家メンバー皆で話し合って決定(写真右)

Q. 今一番困っていることはなんですか?

小規模生産者はコストや値段の面で競争力が弱く、若者のお茶離れもあり、マーケットも小さいです。また、気候変動の面では異常気象、干ばつ、洪水、霜などにも困っています。


(事前資料から)

課題としては茶園の病害虫発生防止や製品の品質保護があげられ、今後の展望として、フェアトレード認証取引や輸出量の拡大が多くあげられていました。

フェアトレード・ラベル・ジャパンの事務所にもお越しいただきました。

Q. 日本の消費者へのメッセージ

皆さんぜひ、私たちが丹精込めて育てた高品質で美味しいフェアトレードのお茶を買ってください!



インタビュー後は京都にて日本茶の博物館や観光を楽しまれ、帰国されました。
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