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【インタビュー記事】サンフェルナンド協同組合「フェアトレードは未来を変えるー女性リーダーとしての挑戦と次世代への期待」
2024/11/28（木）
メキシコのサンフェルナンド協同組合でゼネラルマネージャーを務めるシルビア・エレーラさんは、フェアトレードの理念を実現するための挑戦を続けています。
彼女の活動には、品質向上、女性の活躍推進、次世代への期待が込められています。
「フェアトレードは慈善活動ではなく、持続可能な社会を実現するための選択であり、ビジネスモデルです。
消費者の皆様には、その価値をご理解いただき、共に未来を創っていけることを願っています。」
Silvia Herrera
（写真提供：サンフェルナンド協同組合）
サンフェルナンド協同組合(Sociedad de Producción Rural Unión de Ejidos y Comunidades San Fernando S.P.R. de R.L.)は、小規模コーヒー農家のグループによって1984年12月に設立されました。この組織は、コーヒー農家が中間業者による搾取を避け、コーヒーの販売ルートを共同で開拓できるようになることを目的として設立されました。
当初は従来のコーヒーのみを生産していましたが、組織が成長する中で、単なる販売だけではなく、組織の主要な目標を達成するために必要な仕組みが検討されました。サンフェルナンド協同組合では、メンバーの社会的・経済的な状況を向上させること、環境の保護と尊重を促進すること、再生可能な自然資源を保全することを目標に掲げています。このような考えから、従来の農法から有機栽培への移行が始まり、現在も有機農法に取り組んでいます。
【組織概要】
- 名称 ： サンフェルナンド協同組合(Sociedad de Producción Rural Unión de Ejidos y Comunidades San Fernando S.P.R. de R.L.)
- 設立年 ： 1984年12月
- 国・地域： メキシコ チアパス州
- 取扱品種： ティピカ、ブルボン、ムンド・ノーヴォ、カトゥーラ、ゲイシャ、マルセレサ、トゥピ、サチモール、カトゥアイ 、カチモール
- 標高 ： 950〜1700m
- 収穫期 ： 12月〜3月
- 認証 ： 国際フェアトレード認証、オーガニック認証、SPP (Símbolo de Pequeños Productores)認証
（写真提供：サンフェルナンド協同組合）
アジア最大のスペシャルティコーヒーイベントSCAJ2024でセミナー講演をするために来日された際に、インタビューをさせて頂きましたので、ご紹介します。
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インタビュー日時：2024年10月11日
インタビュアー：フェアトレード・ラベル・ジャパン
松村璃都 （学生インターン・（取材当時）明治大学 文学部3年）
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Q1. メキシコの社会における女性としての立場について、どのように感じていますか？
メキシコの社会システムは長年にわたり男性中心的な構造が維持されてきました。ほとんどの産業分野で男性が優位な立場にあり、女性の参画は極めて限られていました。しかし、近年の社会変革の中で、徐々に女性の進出が進みつつあります。多くの業界で女性従事者の割合が増加し、従来の男性優位な状況に変化の兆しが見られるようになってきました。これは大きな前進と言えるでしょう。ただし、依然として男女間の格差は存在し、女性が活躍できる環境づくりがなお重要な課題として残されています。
Q2. 女性リーダーとして、どのような困難を経験しましたか？
メキシコの社会構造が長年男性中心的であったことから、女性がリーダーとしての地位を築くには多大な努力が必要とされています。女性は、男性よりも高い教育水準と資格取得を求められることが多く、社会的な認知を得るためには、より多くの準備と実績が要求されます。
家庭教育の中で、女性には慎重さや控えめさが求められる傾向があり、リーダーシップを発揮するための意識変革が課題となっています。しかし、一方で女性には社会貢献への強い関心が見られ、変革への意欲も高まっています。このジレンマの中で、若手女性リーダーたちは、教育の機会を得て、着実に実績を積み重ね、徐々に社会的な認知を獲得しつつあります。
Q3. 女性がキャリアで活躍するためには何が必要ですか？
女性がキャリアを築くためには、十分な教育を受け、資格を取る必要があります。多くの組合の中では、依然として60歳以上の男性が主導的な立場を占めており、女性の参加や意思決定における地位は低い状況にあります。
このような男性中心的な組織構造の中で、女性リーダーが活躍するためには、より多くの準備と努力が求められます。教育の機会や資格取得が不可欠であり、そのためには時間とリソースの投入が必要とされます。
しかし、女性リーダーの中には、自身が大学に通い、学位を取得できた経験をもとに、他の女性メンバーにも同様の機会を得られるよう支援する動きも見られます。また、組合の中でも、少なくとも1人の女性代表を置くよう提案するなど、女性の参加と発言権の増加に向けた意識改革の取り組みが行われています。
Q4. フェアトレード認証コーヒーのために行った取り組みを教えてください。
フェアトレード生産者組合は、品質管理の面で大きな役割を果たしてきました。組合が大きくなるにつれ、生産者、組合、技術者チームなど、様々な立場の関係者が一堂に会し、コーヒーの品質について多角的な議論を行うようになりました。これにより、生産者の視点、組合の視点、専門家の視点など、それぞれの立場から提案された意見が活かされ、コーヒーの品質向上に大きく寄与することができるようになりました。特に、テクニカルチームが生産者コミュニティの中で発酵・乾燥といった処理のプロセスの改善を支援し、優れたコーヒーの発掘と育成に尽力していることが重要です。
また、私が資格を取得した後には、他のメンバーをコーヒーのラボに参加させるように促し、コーヒー生産や品質向上のための知識を共有し、さらなるスキルの向上に努めました。
Q5. フェアトレードがなぜ必要だと思いますか？
フェアトレードは、単なる利益追求ではなく、人と環境への配慮を兼ね備えた持続可能な社会システムを実現するアプローチです。
コーヒー生産者の生活の質向上や、環境保護といった社会的課題に取り組むことで、単なる商品取引を越えた価値を生み出しています。
また、生産者が自らの努力と工夫によって高品質な製品を生み出すことができ、それが正当に評価され、適切な対価を得られるようになる点も重要です。生産者の発展と経済的自立を最大限サポートする仕組みが、フェアトレードの大きな特徴と言えるでしょう。
さらに、フェアトレードは生産者コミュニティ内での協調と連携を促進し、相互扶助の精神に基づいた持続可能なビジネスモデルを構築することができます。このように、フェアトレードは単なる取引の枠を超えた、より良い社会の実現に貢献できる可能性を秘めています。
Q6. 次世代にどのような期待を持っていますか？
フェアトレードで活動することは大変な仕事ですが、自分のニーズが満たされ、多くの家族のために働いていると感じられる大変やりがいのある活動です。
次世代の生産者たちには、決して諦めることなく、フェアトレードの理念を実現させるために粘り強く取り組み続けてほしいと願っています。
長年の努力の先に、より多くの生産者がフェアトレード認証を得て、システムの恩恵を受けられるようになることを目標としています。そして、市場の理解も深まり、フェアトレード商品がより広く支持されるようになることを期待しています。
フェアトレード商品は、単に高価格ではなく、その背景にある環境への配慮や生産者の尊厳ある生活の実現といった社会的価値を反映しているのです。消費者がそのことを理解し、フェアトレード商品を積極的に選択することが、持続可能な未来につながると信じています。
Q7. 「フェアトレード商品は高い」という意見についてどうお考えですか？
フェアトレード商品は、通常の商品と比べて高価であることが課題となっていますが、生産者や消費者の視点から見ると、その価格差は正当なものです。
まず、フェアトレードの生産者は本当に良い品質の商品を作っており、常にチームで品質向上に取り組んでいます。つまり、フェアトレード商品を購入するということは、優れた商品を手に入れるとともに、社会的な影響を与えることにもなります。
フェアトレードでは、環境や人々への配慮を行いつつ、最高品質の商品を提供することに注力しています。したがって、フェアトレード商品をより広く普及させ、日本の企業にもその導入を促すべきだと考えています。
一般的に、フェアトレード商品は貧しい人々への支援であると思われがちですが、実際には決して慈善活動ではなく、持続可能な社会を実現するための選択であり、ビジネスモデルそのものなのです。
消費者がフェアトレード商品を購入することは、単に生産者を支援するだけでなく、公正な対価を支払うことで、働く人々の努力に対する正当な報酬を提供することにもつながります。つまり、世界中の人々が一つの目標に向かって取り組んでいるのです。
シルビアさん、ありがとうございました！
（写真提供：サンフェルナンド協同組合）
▶ Book and Cafeのブログにて、SCAJ2024でフェアトレード・ジャパンが開催したセミナーの様子を詳しくご紹介いたただいています。こちらも是非ご覧ください。
▶ サンフェルナンド協同組合シルビアさんのメキシコ・チアパスのフェアトレードコーヒーを日本で販売しませんか？
仕入れをご希望の方は、フェアトレード・ジャパンまでお問い合せください。
