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「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ) 元インターン生 丹波小桃さん」インタビューを掲載しました。

2020/07/29(水)
「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ) 元インターン生 丹波小桃さん」インタビューを掲載しました。

第22回 フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)元インターン生 丹波小桃さん
「見たい変化に自分でなる」— 2ヶ月のインターンシップで成し遂げたこと

今回は、国際基督教大学(ICU)在学時代に約2ヶ月間FLJでインターンとして活動、University of East Anglia, MA Globalisation, Business and Sustainable Developmentに進学し修士号を取得したのち、現在 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Social Impact Officeにてコンサルタントとして活躍されている丹波小桃さんにお話を伺いました。

インタビュアー フェアトレード・ラベル・ジャパン
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岡村仁乃(学生インターン 早稲田大学国際教養学部4年)
取材日:2020年6月22日 (月)
―丹波さんのインターンとしての活動は目を見張るものであったと伺いましたが、まずはFLJでのインターンシップに興味を持った経緯をお聞かせください。

丹波さん(以下、敬称略): フェアトレードについて初めて知ったのは中学生の頃でした。ミッション系の中高一貫校に通っていたので毎朝礼拝があり、先生のお話の中で、世界には自分と同じ子どもなのに働かなくてはいけない子たちがいるという現状を知りました。そしてフェアトレードは、このような児童労働を解決するための手段の一つとして紹介されていました。この時からフェアトレードは「何となく社会に良いもの」と漠然としたイメージを思っていました。高校生になると、国際協力に携わる仕事に憧れるようになりました。そんな中、マザーハウス代表の山口絵理子さんの自伝を読んだことをきっかけに、途上国にいって学校を建てたり、井戸を作ったりすることも重要だけど、お金や物資を渡すだけの支援ではなく、根本的なグローバルビジネスの流れそのものを変えることが格差の是正には重要なんだと考えるようになりました。大学に入って国際開発学を中心に学びましたが、人道支援や開発政策に関わることにはなんだかイメージがわかず、やはりビジネスを通して何かやりたいと強く感じていました。そこで、資本主義経済に対するオルタナティブなビジネスの仕組みのひとつとして「フェアトレード」を理解しようと思ったのが、FLJでインターンをしようと思ったきっかけです。フェアトレードの仕組みを深く理解できたら、自身の「国際協力のあり方」に対するもやもやが解消されるのではないかと思っていたのかもしれません。今から振り返るとそんな感じだったかなと思うのですが....当時はそこまで深く考えてなかったと思います(笑)。

―コットンバックの製作に至るまでのことを詳しくお聞かせください。

丹波:私の大学では、大学のオリジナルグッズは同窓会という卒業生が運営する組織で製品の企画・開発を行っており、コットンバックの企画もこの組織に持ちこんでプレゼンをしました。しかし、当初は熱意こそあったものの、サンプルの開発費用もなければ、デザインや販路の確保も未定であり、案を採用してもらうことはできませんでした。
ひとりでできることの限界にぶち当たった瞬間ではありましたが、あきらめきれず、仲のいい友達に声をかけ、当時、学生の夢を応援すべく卒業生によるファンディングで開催されていた「ドリーム・コンペティション」というコンペに参加しました。そこで金賞と賞金をいただきフェアトレードコットンの製品開発資金を調達しました。具体的に製品企画を行うために、デザインやファッションのタレントを持つ友達に加わってもらい、「ICU ELABEL」(*3) という団体を立ち上げ、トートバッグとブックカバーの開発を行いました。ここまで話すと、頑張ったね、と声をかけていただくことが多いのですが、私自身は全然頑張ってなくて(笑)、本当に才能を持った多様な友達に恵まれ、一気にプロジェクトが加速していきました。フェアトレードのメッセージとICUのロゴが融合した素敵なデザインもメンバーが考えてくれたものでしたし、ICU ELABELの団体ロゴも後輩が作ってくれました。メンバーはもともと、フェアトレードに特別な関心を持っていたというわけではないのですが、だからこそ製品開発を通して、共にフェアトレードの意義を見つめ直し、多様な意見や視点を取り込むことができました。みんなで議論に議論を重ね、インドの工場から製品の写真を送ってもらった時には本当に感動して、「たくさんの人に手に取ってもらいたい」と心の底から思いましたね。私が卒業した後も後輩が引き継いでくれ、今でも学内の売店に置いてもらっています。
(*1) 日本で最も幅広い種類のフェアトレード認証製品を開発・販売している国際協力NGO。
1993年に日本で初めてのフェアトレード認証ラベル製品を販売した団体でもある。
https://www.wakachiai.com/

(*2) 日本で初めて、コットンの分野で国際フェアトレード認証&オーガニック国際認証(GOTS)を取得した株式会社。
https://fairtradecottoninitiative.com

(*3)「ICU ELABEL」の公式FACEBOOKページ:
https://www.facebook.com/elabel.icu/

―フェアトレードの中でも生地や繊維への関心が高まったのには何かきっかけがあったのでしょうか。

丹波:大学生になった頃からフェアトレードやエシカルファッションへの興味は強くなっていたのですが、そんな時にバングラデシュでラナ・プラザの崩落事故 が起きたのが一番大きなきっかけだったと思います。私はもともとおしゃれが大好きで、毎日違う服を着たいし、いろんなスタイルに挑戦するにはたくさん服を持っていなきゃ!という思いが強く、ファストファッションの洋服もよく購入していました。ただ、ラナ・プラザの事故を見たり、ファッション産業がどれだけ環境負荷が高いのかを見聞きしたりすればするほど、ものすごく苦しくなって「なんて生きづらい社会なんだ」と思うようになりました。憤ったり悲しんだりしても、毎日服は着なきゃいけないですよね(笑)。じゃあ、自分で居心地のいい社会にするしかない。ということで、自分ではすべての服は作れないけれど、エシカルファッションを応援したり、推進したりすることならできると考え、フェアトレードの中でも特にコットンをはじめとする天然繊維産品に特別な関心がありました。加えて、実家が家具屋であったため職人の手仕事を見て育ち、クラフトマンシップの価値を教えられたこと。また、祖母の家系が伝統的な織物業を営んでいるということもあり、小さい頃から「作り手の技術や思い、誇りがこめられたモノ」を長く大切に使い続ける、という感覚が根底に植え付けられていたのだと思います。そのような背景もあり、フェアトレード産品の中では食品よりも繊維や衣服に対して強い思いがありました。
―それがのちにエシカルファッションに関する団体でのインターンにつながったのですね。

丹波:FLJでインターンをさせていただいたおかげで、認証制度の意義や仕組みは深く理解できたのですが、認証、非認証など様々な形でフェアトレードとファッションに取り組む企業やブランドが点在する中で、いかに皆が手を取り合って、ファッションの消費文化をひっくり返していけるのかが大学生活後半の問題意識でした。その一つの解として、「エシカルファッション」のスローガンのもと、「環境と生産者にフェアなものづくりをする」という共通のゴールに向かって協働できるのではないかと考え、エシカルファッションの推進組織でインターンをさせていただきました。オンラインマガジンで様々なブランドの紹介記事を書いたり、実際に商品を販売するお手伝いをさせていただき、それぞれのブランドの理念や思想を理解することができたと思っています。一方で、認証・非認証問わずエシカルファッションの広がりを加速させていくには、やはりグローバル企業の活動に訴求しなければならないと実感し、グローバルビジネスとサステナビリティを専門的に学ぶべくイギリスの大学院に進みました。
―今後さらにフェアトレードを普及していくにはどのようなことが不可欠だとお考えですか。

丹波:私がインターンしていた頃(5~6年前)に比べて、日本におけるフェアトレードの認知度や商品の展開数は格段に増えてきており、転換点に差し掛かっていると思います。大企業などがブランディングの一貫としてSDGsと絡めたフェアトレードやエシカルを発信し始めていること自体はとてもポジティブではありますが、同時にそれが誤った方向に伝達されないか、本当に正しくすべての人に広まるか、というのが次の壁だと思っています。今はまだまだ「認知」の段階であり、「関心」の段階まで消費者の意識を引き上げていく必要があります。ひとたび関心を持つことができれば、ひとりひとりが積極的に情報を集めることで、なぜフェアトレードが必要なのかという背景課題の理解に繋がり、消費スタイルを転換していけると思います。ひとりでも多くの人を関心層に引き上げて「自分事」としてもらうためには、地道な情報発信や啓発が不可欠ですが、そのようなシーンではやはりFLJなどのNGO/NPOこそがリードできる役割であると考えています。

―最後に、フェアトレードの普及も含め熱心に活動を続けるためのモチベーションの秘訣をお聞かせください。

丹波:行動の原動力は二つあって、一つ目は単純にワクワクするから。こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、社会に確かに存在する課題に取り組むことで、色々な人がハッピーになれることが明確であり、かつ自分にも参加できるということにワクワクするんです。微力でも社会課題に貢献できると思うことは私にとって幸せで、さらにそれが他の人の課題解決にもちょっとはつながっているというのはWin-Winだと感じているんですよね。だから、言ってしまえば「誰かのため」と思っているのではなくて、「自分が楽しいから」続けているんです。 もう一つは、学生時代に活動していたNGOの職員さんに、「自分の住みたい世界は自分で作るしかないし、自分が見たい変化には自分自身がならなければいけない」と言われて、それがすごく自分の中にストンと落ちてきたんです。「世界」ってなにも地球全体を指しているのではなくて、自分が生きているこの場所のことで、それを変えるのは自分しかいないという考えにとても共感しました。友達や家族、会社など日々過ごす世界をちょっとでも居心地のいい場所にしたいと思って行動するようになったんです。フェアトレードの商品を選択することも同じで、社会の不条理を知ってしまった以上は、その仕組みに加担しない物を選択する。なかったら自分で選択肢を作るというモットーで活動してきましたし、今後も活動を続けていきたいと思っています。

インタビューを終えて

インターン 岡村: 精力的に活動されている丹波さんの考えていることを覗き見ることができた気がして、大変貴重な経験になりました。一人一人が居心地のいい世界を目指すことで、いつか地球全体が誰にとっても居心地のいい場所になるのだと改めて痛感しました。フェアトレードを選ぶことはその大きな第一歩になるかもしれません。丹波さん、お忙しい中本当にありがとうございました!
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