新着情報
―カテゴリー検索―
新着情報一覧
お知らせ
ご報告
フェアトレードニュース
フェアトレードの児童労働撤廃に向けた最新の取組み
2022/03/10(木)
【出典】Francis Kokoroko
児童労働の撤廃に向けたフェアトレードの取組みと、新たな児童労働のモニタリングの仕組みの効果検証の最新レポート(2021年)の内容を紹介します。
児童労働の現状
----------------------------------------------------
世界では1億6000万人もの子どもが児童労働の犠牲になっており(2020年)、その数は過去4年で840万人も増加しました。
さらに、新型コロナウイルスの影響により子どもへの教育や医療、食料、そして保護へのアクセスが限られ、児童労働との戦いの障害となっています。
児童労働撤廃に向けたフェアトレードの活動
-----------------------------------------------------
フェアトレード基準では、生産者組合の設立と民主的な運営を定めています。
コミュニティを中心としたアプローチを取ることで、現地の生産者自身が主体的にこの問題について取り組むことを促進しています。
児童労働に関する厳しい基準の設定や監査を行っています。
フェアトレード基準における「最低価格保証」や「プレミアムの支払い」を通じて貧困問題の解決に取り組んでいます。
それにより生産者はコミュニティや家族へ再投資を行い、具体的には学校を建てて子どもたちがより質の高い教育を受けることが可能になり、結果として児童労働から守ります。
また、生産者組合組織の支援や監視・是正システムの導入支援、さらには他のパートナーとのターゲットを絞ったプログラムの開発も行なっています。
例えば「コミュニティベースの若者参加型モニタリング・是正システム(YICBMRシステム)」などのアプローチも実施しています。(詳細以下)
新たな児童労働のモニタリングの仕組みの効果検証
------------------------------------------------------
フェアトレードは、児童労働の撤廃に向けてモニタリングの仕組み構築も行っています。
2021年には、その有効性の評価を4カ国(ベリーズ、ドミニカ共和国、ガーナ、インド)で行いました。2つの監視システムの評価が行われ、どちらも有効性は高いものの、「YICBMRシステム」がより児童労働の抑制に効果的だと判明しました。
<分析方法>
4カ国における2つの児童労働監視システムを経済開発協力機構(OECD)が定める6つの基準で評価し、その結果を比較しました。
一つ目の「内部統制システム 」(The Internal Control System)は、基準や法律に関する特定のマネジメント観点の遵守を監視し、全ての農場活動に焦点を合わせたシステムです。それに加え、商業パートナーも対象になることがあります。
二つ目の「YICBMRシステム(The Fairtrade Youth-Inclusive Community-Based Monitoring and Remediation)」は、児童労働のリスクや事例をより深く取り上げ、農業分野だけでなく、若者や政府などより広いコミュニティーをも巻き込むシステムです。欠点として、時間がかかることが挙げられます。
これらの二つのシステムは経済協力開発機構(OECD)が定める6つの基準《関連性(Relevance)、一貫性(Coherence)、有効性(Effectiveness)、効率性(Efficiency)、影響力(Impact)、持続可能性(Sustainability)》で評価されました。
<分析結果>
2つのシステムを比較した結果、「YICBMRシステム」がより効果的であると分かりました。
「内部統制システム」は、トレーダーの関与に関してわずかに効果的であり、また、短期的には費用効率が高いと評価されました。一方で、「YICBMRシステム」の方が中長期的な効果は大きく、ほとんどのOECDの基準で最高スコアを獲得しました。そのため、「YICBMRシステム」が児童労働撤廃のための国家行動計画などに組み込まれた場合、より大きな影響と長期的な経済的持続可能性をもたらすと考えられます。
生産者はコストの観点から「内部統制システム」を選択する傾向がありますが、「YICBMRシステム」の方がより効果的であるため、生産者に対してより深く説明し、システムの最終段階で政府の児童労働撤廃の国家行動計画に組み込まれることで高い効果を見込めることを生産者や組合に理解してもらうことが重要です。
<分析を踏まえた今後の展望/提言>
児童労働撲滅のためには様々な人々の支援が必要です。児童労働の監視やシステムの費用は生産者のみが負担するのではなく、サプライチェーンに関わる人々も責任を負うべきであり、また政府も児童労働法を正常に執行する必要があります。
今後はシステムの導入方法の改善に取り組み、それに加え協議中であるカカオのフェアトレード基準にも反映させることを検討しています。
【出所】
Fairtrade International「A new study looks at systems to find, fix and prevent child labour. Here’s why it matters」(記事発行日:2021/12/10)
▶ 詳しくみる
【出所】
Fairtrade International 「Comparative Assessment of Monitoring and Remediation Systems on Child Labour as implemented by Fairtrade Small-scale Producer Organizations」(記事発行日:2021/12/10)
▶ 詳しくみる