参加団体インタビュー

第23回 「逗子フェアトレードタウンの会」共同代表 長坂寿久さん

「フェアトレードは世界を知る入り口」

今回は、元拓殖大学教授で、(一財)国際貿易投資研究所 客員研究員、「逗子フェアトレードタウンの会」共同代表として活動されていらっしゃる
長坂寿久さんに、お話しを伺いました。

インタビュアー

フェアトレード・ラベル・ジャパン

岩崎ひかる(学生インターン 日本大学経済学部4年)

取材日 2020年5月14日



  • 長坂寿久さん(写真はすべて長坂さんご提供)

―長坂さんは30年程前にオランダでフェアトレードに出会い、日本に持ち帰ろうとお思いになったそうですが、まだ国内でのフェアトレードの認知度がほとんどなかった頃と思います。オランダからフェアトレードを持ち帰り、日本に広めようという強い思いはどこから生まれましたか?

私自身、学生時代から貧困問題や障害者の問題などに関わるボランティア活動を熱心に行っていました。社会人になってからも、絶えず何らかの市民団体と関わりいろいろ活動に参加するようにしてきました。
大学を卒業する時、実は自分へ「青春への遺書」を書いたのです。社会に入って、結婚して、子どもを育てて、と人生いろいろありますが、いつもいつまでも社会と関わってそういう活動を続ける自分でありたいという決意をある冊子に書いてしまったのです。そのため、ボランティア活動という枠組みを超えて、社会的活動と関わるのは私の生き方そのものになったのです。
90年代にオランダでフェアトレードに初めて出会ったとき(この時JETRO/日本貿易振興機構のアムステルダム駐在員でした)、これこそ自分も関わるべきことと思い、ヨーロッパのフェアトレード事情を調べ、帰国後日本のフェアトレード団体を訪ね、皆さんに集まって頂き、ある研究所(国際貿易投資研究所)にお願いして、2000年過ぎ頃からフェアトレードの月例勉強会を始めたのです。この勉強会は2008頃まで続き、それが今のFTFJ(日本フェアトレード・フォーラム)へと繋がってきたといえるかもしれません。

  • 長坂寿久さん(写真はすべて長坂さんご提供)


―長坂さんは30年程前にオランダでフェアトレードに出会い、日本に持ち帰ろうとお思いになったそうですが、まだ国内でのフェアトレードの認知度がほとんどなかった頃と思います。オランダからフェアトレードを持ち帰り、日本に広めようという強い思いはどこから生まれましたか?

私自身、学生時代から貧困問題や障害者の問題などに関わるボランティア活動を熱心に行っていました。社会人になってからも、絶えず何らかの市民団体と関わりいろいろ活動に参加するようにしてきました。
大学を卒業する時、実は自分へ「青春への遺書」を書いたのです。社会に入って、結婚して、子どもを育てて、と人生いろいろありますが、いつもいつまでも社会と関わってそういう活動を続ける自分でありたいという決意をある冊子に書いてしまったのです。そのため、ボランティア活動という枠組みを超えて、社会的活動と関わるのは私の生き方そのものになったのです。
90年代にオランダでフェアトレードに初めて出会ったとき(この時JETRO/日本貿易振興機構のアムステルダム駐在員でした)、これこそ自分も関わるべきことと思い、ヨーロッパのフェアトレード事情を調べ、帰国後日本のフェアトレード団体を訪ね、皆さんに集まって頂き、ある研究所(国際貿易投資研究所)にお願いして、2000年過ぎ頃からフェアトレードの月例勉強会を始めたのです。この勉強会は2008頃まで続き、それが今のFTFJ(日本フェアトレード・フォーラム)へと繋がってきたといえるかもしれません。

―フェアトレードのような倫理的なものを広める時、印象だけが先走りしては良くないし、意味を取り違えられてしまうことも避ける必要があると思います。フェアトレードタウン運動を行う上で、意識したこと、一番大変だったことはどんなことですか?

フェアトレードタウンとしてフェアトレードを広めて行くには、“学びの場”を提供することが何よりも大切だと考えています。
私はフェアトレードは世界の課題を知っていく、学びの入り口だと考えています。フェアトレードと関わり続けるには、「世界でどんなことが起こっているのか」、「なぜフェアトレードが必要なのか」といった動機をしっかり考え、学ぶきっかけがあることが重要と思っています。
例えば、逗子市でも長坂ゼミとか連続講座とかを定期的にやって、フェアトレードや世界の課題を継続的に学ぶ勉強会を開催しています。どうやって(how)、何を(what)、というところだけに目を向けてしまいがちですが、なぜ(why)というところにいつもしっかり目を据えることが大切で、それによって自分の生き方として、学生時代に大切・重要だと思ったことに関わり続けることができます。
そうでないと、学生時代に関わったことを、卒業し会社に入ると見事に忘れ、放棄してしまいます。若い学生時代に考えたことが、人生で一番純真で素晴らしいことに違いないと、私は自分の経験から思っています。学生時代に大切だと思って関わったことを、社会人になると共に簡単に捨て去ってほしくないのです。
だから、もちろんフェアトレードに関わり、イベントなどのアクションに参加して楽しいということは当然とても大切ですが、そのベースに、何故大切なのかを“学ぶ”ということも続けてほしいと思っています。

  • フェアトレードタウン認定記念日イベント2019年7月15日逗子海岸にて プロの写真家が市民からの応募で家族写真を海岸で撮影。(一番左が長坂さん)

―逗子市だからこそフェアトレードタウンに認定された、というような要因が何かあると思われますか?

逗子市の特徴の1つとして、歴史的に市民活動が活発ということが挙げられるかもしれません。
戦前、逗子は当時日本最大の軍港の一つである横須賀市に強制合併させられていましたが、戦後市民が独立運動を行い、分離独立に成功、さらに市内の米軍基地の返還運動も盛んに行われてきたことでも知られていて、逗子は、青い海と家族向けの静かな海岸と、富士山の遠景と、散歩に丁度いい緑ゆたかな山に囲まれていますが、逗子名物は特段ありません。あえて言えば「市民活動」かもしれません。だから市民がいろいろなテーマでイベントなど活動に参加することが比較的盛んな方だろうと思います。
私たちは、逗子をフェアな心を持った人が一人でも多いまちにしたいと願って活動している団体ですが、同時に逗子のまちをよりよくしていこうと活動している多くの団体の1つに過ぎないとも思っています。そのため、他の団体とも一緒になって活動していくよう心がけています。この点は日本のフェアトレードタウンの4番目の基準となっていますね。
また、フェアトレードタウンとして認定されたことによって、行政と協働して活動ができることも大きいと思います。逗子市とは補助金のないときでも毎年「協働契約書」を締結しており、市の機能を大いに使わせていただいています。
私たちは独自事業とした、逗子珈琲や逗子チョコの開発、地域のイベントへの出店などいろいろ行っていますが、同時に市との共催などの協働事業もいろいろ行っています。市庁舎の外壁に5月のフェアトレード月間などには巨大な懸垂幕を掲示したり、国際フォーラムの開催、連続講座、認定記念日イベント、商店街のレストランとのフェアトレードランチキャンペーンの実施等々は協働事業です。
さらに、フェアトレードのゴマを、市の小学校や中学校の給食で提供することも行っていますが、それが可能なのも行政と協働関係をしっかりと持っているからだと思います。
フェアトレードタウン運動というのは、市民から始めるボトムアップのまちづくり運動です。その点で日本では先進的な活動の一つだと思っています。これまで市民活動が盛んであるかどうかに関係なく、今やどの自治体でも達成可能な市民の新しいまちづくり運動だと思います。
2010年代以降は政府自体が、グリーン購入法の導入やSDGsへの取組みなどで、エシカル消費の推進を進めているので、日本全国の地域の自治体でも市民が声を上げさえすれば、フェアトレードタウンになることはそんなに難しいことではなくなっているのではと感じています。大学卒業してどこに就職し住んでも、どの地域でもできる活動の一つがフェアトレードタウンだと思いますね。

  • フェアトレードタウン認定記念日イベント2019年7月15日逗子海岸にて プロの写真家が市民からの応募で家族写真を海岸で撮影。(一番左が長坂さん)


―逗子市だからこそフェアトレードタウンに認定された、というような要因が何かあると思われますか?

逗子市の特徴の1つとして、歴史的に市民活動が活発ということが挙げられるかもしれません。戦前、逗子は当時日本最大の軍港の一つである横須賀市に強制合併させられていましたが、戦後市民が独立運動を行い、分離独立に成功、さらに市内の米軍基地の返還運動も盛んに行われてきたことでも知られていて、逗子は、青い海と家族向けの静かな海岸と、富士山の遠景と、散歩に丁度いい緑ゆたかな山に囲まれていますが、逗子名物は特段ありません。あえて言えば「市民活動」かもしれません。だから市民がいろいろなテーマでイベントなど活動に参加することが比較的盛んな方だろうと思います。 私たちは、逗子をフェアな心を持った人が一人でも多いまちにしたいと願って活動している団体ですが、同時に逗子のまちをよりよくしていこうと活動している多くの団体の1つに過ぎないとも思っています。そのため、他の団体とも一緒になって活動していくよう心がけています。この点は日本のフェアトレードタウンの4番目の基準となっていますね。 また、フェアトレードタウンとして認定されたことによって、行政と協働して活動ができることも大きいと思います。逗子市とは補助金のないときでも毎年「協働契約書」を締結しており、市の機能を大いに使わせていただいています。 私たちは独自事業とした、逗子珈琲や逗子チョコの開発、地域のイベントへの出店などいろいろ行っていますが、同時に市との共催などの協働事業もいろいろ行っています。市庁舎の外壁に5月のフェアトレード月間などには巨大な懸垂幕を掲示したり、国際フォーラムの開催、連続講座、認定記念日イベント、商店街のレストランとのフェアトレードランチキャンペーンの実施等々は協働事業です。 さらに、フェアトレードのゴマを、市の小学校や中学校の給食で提供することも行っていますが、それが可能なのも行政と協働関係をしっかりと持っているからだと思います。 フェアトレードタウン運動というのは、市民から始めるボトムアップのまちづくり運動です。その点で日本では先進的な活動の一つだと思っています。これまで市民活動が盛んであるかどうかに関係なく、今やどの自治体でも達成可能な市民の新しいまちづくり運動だと思います。 2010年代以降は政府自体が、グリーン購入法の導入やSDGsへの取組みなどで、エシカル消費の推進を進めているので、日本全国の地域の自治体でも市民が声を上げさえすれば、フェアトレードタウンになることはそんなに難しいことではなくなっているのではと感じています。大学卒業してどこに就職し住んでも、どの地域でもできる活動の一つがフェアトレードタウンだと思いますね。

―フェアトレードタウンになってから、市民の方々のフェアトレードやサスティナブルなものへの考え方の変化は強く感じますか?

フェアトレードタウンになってから、劇的な変化を感じている訳ではありません。それに、変化を求め過ぎると、燃え尽き症候群のようになってしまい、長く続かないか、あるいは単なるブームだと誤解されかねないとも思うんです。なので、じわじわと市の中でフェアトレードへの意識が着実に高まっていくというのが、一番良い変化だと思います。
ちなみに逗子市では一年に1回、市民の暮らしについて総合的なアンケート調査を行なっています。2019年末実施の調査から、フェアトレードに関する項目を3つ入れてもらったのです。その最新の結果は、以下のようでした(2020年2月発表)。

・フェアトレードを知っていますか  53%
・フェアトレード商品を買ったことがありますか  25%
・逗子がフェアトレードタウンであることを知っていますか  15%

フェアトレードを知っている人は53%程で、FTFJの調査では認知度の全国平均が33%(2019年)なので、それに比べると悪い結果ではないと思いますし、買ったことがある人が4人に1人という結果など、欧米に比べるとまだまだ低いですが、じわじわと広がっているのを感じています。
しかし、自分たちのまちがフェアトレードタウン認定都市であることを知っている人がまだ15%程であるらしいことには正直がっかり、というかびっくりしました。私たちの活動の大きな課題です。

—イギリスでは多数の地域がフェアトレードタウンに認定されていますが、中には大きな目標だった認定がされた後、活動が沈静化してしまう地域も多いと本で読みました。逗子市でフェアトレードタウンに認定されたからこそ行っている活動や、意識している点はありますか?

一度認定されたのにも関わらず、市民活動が継続できず外されてしまったら、まちづくり運動としてマイナスのイメージとなりかねません。またとくに日本では、NPOなど市民活動のイメージにも打撃を与えかねません。そのため、持続的であることは必須でしょうね。
フェアトレードタウンの認定基準にもこの点が配慮されています。
1つは3年ごとに更新審査を必要としているため、市民団体にとっては休むひまなく活動を続ける必要がありますね。
2つは地域にフェアトレード専門ショップが1店は存在することが認定条件になっていますが、これは市民活動が弱くなったときには、専門店の人々が下支えしてくれる可能性が期待されます。お店を応援しようと地域ぐるみで頑張るので、地域の絆が強まり、そこで継続性が担保できうるかもしれません。
認定後は頑張り過ぎずマイペースでやることも大切だと思います。やりたいことを一気にやる必要はなくて、長期的に達成していけばいいと思っています。継続性を重視し、慌てない、できなかったことは腐らず悔やまず、次のチャンスを待つ。そして継続性(サステナブル)への気持ち(動機)を持ち続けられるよう、世界の課題を「学び続け」たいと思っています。

―このインタビューを読んでいる方々へメッセージをお願いいたします。

私たちは、世界中のいろんな人々の力を借りることによって生きることができ、生活を楽しむことができています。まさにお互い依存しあって生きているのです。
コロナ・パンデミックは、私たちのこれまでの傲慢さ・強欲さによってもたらされた結果です。コロナ後の世界は、単に元に戻るだけでなく、大きく変わらねばなりません。そのことに私たちの多くが気付き始めていますし、とくに未来を生きる若い世代の自覚が高まっていると感じてます。
そして、フェアトレードはSDGsの17項目すべてに関わっています。確かにコロナによって、SDGsへの関心が高まると共に、地産地消や地域を活性化していくような“リローカリゼーション“(地域回帰)の時代に急速に向かっていくでしょう。しかし、気候変動など環境問題への関心は高まっても、他方では、途上国へのコロナの打撃は大きく、貧困と格差の拡大は大きくなり、先進国経済の悪化で途上国支援への関心は薄くなり、SDGsは破綻しかねません。
そして、2030年のSDGs―Ⅱは、SDGsを超えて、経済・社会システムの変革の時代に向かっていくことになるでしょう。
そうした新しい時代を考え、向かっていくために、そのことを考えるきっかけとして、そして世界を知る入り口として、フェアトレードには大切な役割が期待されているのだと思います。
フェアトレードタウンは、世界の中で「他者」である途上国の貧困などの課題を自分事として考え、他者と繋がることを通して、途上国の人々の村と、自分が住むまちを同時に一緒により良くしていこうとする新しいまちづくり活動だと思います。
フェアトレードなどのイベントに参加して、楽しみつつ、コロナ後の世界について考え・皆で一緒に熟議する、そんな機会をフェアトレードタウンの活動を通して関わり深められたらいいなと思います。
一人でも多くの人に、フェアトレードを知っていただき、フェアトレードを経て、そこからさらに奥へ、SDGsを超えて、世界システムの変革の時代へ向かっていけたらと思います!

インタビューを終えて

長坂さんが繰り返しおっしゃっていた“継続的に学ぶ”という言葉がとても印象的でした。
もちろんフェアトレードを広めていく上で楽しいことは大事ですが、初心に立ち返り学び続けることの大切さを改めて思い出すことができました。
私自身も大学を卒業し社会人になってからも、コツコツと自分のできる活動を続けていきたいです。
長坂さん、お忙しい中ありがとうございました!

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