児童労働 - Child labour -

児童労働 - Child labour -

世界ではいまだ1億6,000万人の子どもたちが児童労働に従事しています(UNICEF, 2021)。そして、そのうち70%が農業に従事しています。この問題は根深く、解決には包括的なアプローチが必要です。フェアトレードは、児童労働の根本的な原因に立ち向かい、児童の虐待や搾取を防止することに取り組んでいます。

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© Fairtrade / Funnelweb Media

児童労働とは、子どもの健康や福祉が害されたり、子どもの教育や余暇、発達に支障をきたしたりするような労働のことです。児童労働はとても複雑な問題で、世界の多くの国の少年少女に影響しています。児童労働に従事する1億6,000万人のうち、70%にあたる1億1,200万人が農業に従事していると推計されています。こういった児童の多くは学校に通えず、遊ぶ時間もほとんどなく、適切な食事をとることや健康面でのケアも十分に受けていません。また、このような児童に課される仕事は、危険で搾取的であることが多々あります。児童が従事している仕事の多くは隠されており確認が困難であるため、実際の児童労働者の数、特に女の子については、把握されているよりもさらに多い可能性があります。

児童労働の原因は多岐にわたります。質の高い教育を受ける機会の欠如、差別、紛争、自然災害などは、その原因のほんの一部にすぎません。しかし、貧困は依然として大きな要因です。農業生産で家族がまともな生計を立てられず、しっかりとした雇用機会を得られない場合、児童労働をなくすことは非常に困難です。

フェアトレードの取り組み

フェアトレードは、児童労働の根本的な原因に立ち向かい、児童の虐待や搾取を防止することに取り組んでいます。フェアトレードが特に児童労働のリスクがあるとされる産品や地域で活動しているのは、そこがフェアトレードの活動を最も必要としている場所だからです。フェアトレードは、国際労働機関(ILO)の最低年齢条約と最悪の形態の児童労働条約で定義されている児童労働を禁止しています。

国際フェアトレード基準が定める項目:児童労働

  • • 15歳未満の児童を生産者組織やサプライチェーンのすべての企業・団体で雇用してはならない。
  • • 18歳未満の児童は、就学や発達を妨げるような労働に従事してはならいない
  • • 家族が経営する農場で働くことは、厳しい条件をクリアした場合のみ許可される。その仕事は年齢に適したものでなければならず、
    学校の授業時間外や休日に行わなければならない。
  • • 児童労働の発生リスクが高い地域では、小規模生産者組合はフェアトレード開発計画に児童労働の緩和と撤廃計画を盛り込むことが奨励される。
  • • 生産者組織が児童労働の発生リスクを認識している場合、児童労働防止のための方針と手順を定めなければならない。

一般的に言えることとして、全生産工程を第三者が365日監視することができない以上、児童労働していないと100%保証できる製品はないでしょう。だからこそ、フェアトレードは、児童労働の基準に反することを発見した場合、まず影響を受けている子どもの保護を最優先に即座の対応を取ることを徹底しています。国の児童保護機関や子どもの権利団体と協力し、子どもたちの安全な救済と長期的な福祉を確保します。そして、生産者組織が児童労働に対処するためのプログラムとシステムを強化・改善できるよう、協力して取り組みます。適切なシステムが構築されない場合は、改善が確認されるまで、その生産者組織のフェアトレード認証を停止、ないしは最終的には認証取消の対応を取ります。

基準や監査だけでは児童労働を100%根絶することはできないという認識のもと、子どもや若者に対する虐待や暴力のより幅広い原因に取り組み、子どもと周りのコミュニティが行動を起こせるようにすることが必要です。フェアトレードがどのように活動しているか、その例をいくつかご紹介します。

フェアトレードのプロジェクト:児童労働

  • 貧困や教育機会の欠如など、児童労働の根本的な原因へのアプローチ。
  • • フェアトレードの生産者コミュニティが、子どもの権利を守るNGOと連携し、若者とコミュニティ主導による児童労働の監視と救済システム(YICBMR)の確立を支援。
  • • フェアトレードの生産者コミュニティの若者を対象とするフォーカスグループに対し、教育、就職、将来の希望、フェアトレードが彼らの生活に与える影響について調査。
  • • 各国政府、子どもの権利に関する専門家、NGOと協力して、児童労働に関するフェアトレードの活動を共有し、フィードバックを受ける。
  • • 企業がフェアトレード産品の調達地域における児童労働への取り組みに直接支援できるよう、企業と生産者を結びつける。フェアトレードのトレーダー基準でも、自発的取組み項目の中でこれを奨励している。
  • • 企業がサプライチェーンにおける児童労働をチェックし、行動を起こすことを要求する政府規制(人権・環境デュー・ディリジェンス法など)を提言する。

児童労働を解決するには、生産者、消費者、企業、政府など、すべての人がそれぞれの役割を果たすことが必要です。フェアトレード製品を購入することで、生産者がより良い生活を送り、子どもたちを学校に通わせることができるようになるだけでなく、コミュニティにおける児童労働の根本的な原因解決への取り組みを支援することができます。

ケーススタディ~若者とコミュニティ主導の児童労働撤廃アプローチ~

若者を巻き込んだアプローチでは、若者とそのコミュニティが一緒になって児童労働の原因解決に取り組みます。子どもと若者が、自分たちのウェルビーイングを脅かすリスクを特定し、安全な場所と危険な場所を地図上に示し、コミュニティの大人たちとともに、対応するための予防的プロジェクトを設計します。これまでに、カカオ、サトウキビ、金、コーヒー、花、バニラなどの生産者を含む18カ国の生産者組織がこのアプローチを試験的に導入しています。2016年からは、強制労働やジェンダーに基づく職場での暴力や虐待の防止対策としても、このYICBMR(Youth Inclusive Community-Based Monitoring and Remediation System on Child Labour)システムを採用しています。 中米北東部のベリーズのBSCFAサトウキビ生産者組合は、この取り組みの先駆者で、自分たちの農園や地域社会で、この可能性に溢れたプログラムに資金を投じているだけでなく、 ベリーズの国全体における児童労働との闘いを強化するよう中央政府に提言し、国をも動かしました。 フェアトレード・インターナショナルから2019年にベリーズにおけるYICBMRプロセスの評価を発表しました。また世界規模のパートナーシップであるGlobal Dealからも、2021年11月、ベリーズでの活動がケーススタディとして発表されました。

フェアトレード生産者組織が活用する「児童労働の監視・救済システム」の評価

児童労働の発見、是正、防止において生産者組織が活用している2つのシステムを比較する調査を実施しました。フェアトレード・インターナショナルの代表的なシステムである「若者とコミュニティ主導による監視と救済システム(YICBMR)」と「内部統制システム(ICS)」の 2 つを、経済協力開発機構(OECD)が定めた6つの基準(関連性、一貫性、有効性、効率性、影響力、持続可能性)に基づき、ベリーズ、ドミニカ共和国、ガーナ、インドの4 カ国で比較しました。

調査員は、184人の生産者と122人のコミュニティメンバー(男性、女性、若者、子どもを含む)にインタビューを行い、フォーカス・グループ・ディスカッションを実施しました。また、その他のステークホルダーにもインタビューを行いました。その結果、ICSは農園での児童労働の監視に効果的であることが判明し、YICBMRは、救済やより幅広いリスクへの対処、子どもの権利の定着、児童福祉に対するコミュニティの主体性の醸成、地域や国の児童保護システムの強化に優れていることが分かりました。この調査は、YICBMRシステムを維持する上での財政的持続可能性についても疑問を呈し、サプライチェーン・パートナーや政府を含むすべての人が、このようなシステムを支える役割を果たすことの必要性を強調しました。 詳しく読む

元記事、関連する資料のダウンロードはこちら(英語):https://www.fairtrade.net/issue/child-labour

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