貧困 - Poverty -

貧困 - Poverty -

生活に必要な基本的ニーズを満たし、人間らしい尊厳ある生活を送ることは、すべての人に平等にあるべき人権です。しかしながら、グローバル市場でサプライチェーンに何十億もの価値を生み出す作物を育てている小規模農家と労働者の多くが、貧困の中で暮らしています。

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ペルーのフェアトレード認証コーヒー生産者、ノランディーノ協同組合の家族 (C)The Fairtrade Foundation/Eduardo Martino

安価な食品には、代償が伴います。サプライチェーンの起点となる農家や労働者が搾取されているのです。世界の7億3,600万人の極度の貧困層のうち、約80%が農村部に住み、生計を農業に依存しています。世界の食料の多くを栽培し収穫する人々が、適切な生活を営むのに十分な報酬を得ていないことは容認できず、持続可能でありません。

自分の土地を持つ農家と、他人の土地で働く農業労働者とは、それぞれ直面する課題が異なります。農家は、その収入を家族の必要なものに費やす前に、農業に必要な費用をまかなわなければいけません。通常の貿易において、農家は持続可能な価格を設定する力を持っていないも同然で、天候に恵まれなければ、全く収入が入らないこともあり得えます。一方で、農業に従事する雇用労働者は、賃金以外にも、住居などの他の手当を受けることもありますが、雇用は不安定であり、劣悪な生活や労働条件に直面し、雇用主から搾取されるリスクがあります。どちらのケースでも、多くの若者が両親の苦労を目の当たりにしており、より良い将来への希望から、土地を離れることを余儀なくされています。

しかしながら、希望もあります。消費者の多くは、自分たちが味わう食品や、コーヒーやチョコレートなどの嗜好品が、貧困に苦しむ農家や労働者の犠牲の上に成り立つことを望んではいません。例えば、最近の調査では、労働者に生活賃金が支払われていることは、消費者にとってサステナビリティ(持続可能性)の最優先事項であり、10人中8人以上の消費者が、ブランドに対して世界の貧困問題に対する行動を求めていることが分かりました。

フェアトレードの取り組み

農家と労働者では、人間らしい暮らしに至るまでの道筋が異なります。そのため、フェアトレードは、小規模農家の生活所得雇用労働者の生活賃金の2つの戦略を策定しました。やるべきことはまだまだありますが、フェアトレードの取り組みの一部を紹介します。

  • フェアトレード最低価格とフェアトレード・プレミアムの保証制度は、農家には重要な価格保護を、労働者には追加的な資金を提供します。プレミアムは生産者組織が受取り、いま資金が必要な部分がどこにあるかを話し合い、使途を民主的に決めます。プレミアムの資金の一部を生産者組合の加盟農家や労働者に分配する選択を取ることも可能です。それにより収入を増やすことに加え、プレミアムを活用した医療、住宅、教育のプロジェクトにより、生産者・労働者の支出を減らすことができます。
  • フェアトレード基準では、生活賃金レベルまで段階的に賃金を上げていくことを雇用主に求めています。また、賃金が極端に低い国の労働者を保護するため、国際貧困ラインを下回らないなどの最低賃金要件基準を導入しています。
  • • フェアトレードは、グローバル生活賃金連合(Global Living Wage Coalition)の共同設立者であり、特定の国や地域の生活賃金ベンチマークの策定を進めています。これらのベンチマークは、現在の賃金とのギャップを確認し、雇用主、労働者、バイヤー、小売業者と共に解決策を見出すのに役立ちます。
  • • フェアトレードは、生活所得基準価格の仕組みを設定しました。これは、持続可能で十分な生産性の水準にある専業農家が、生計を立てるのに必要な価格を示します。
  • • 労働者がより良い賃金を求めて団体交渉できるよう、労働組合の組織化を促進します。フェアトレード基準でそれらを定めていくことに加え、労働団体との協働により実現します。
  • • 生産者がより多くの農産物をフェアトレードの条件で販売し、最低価格とプレミアムの恩恵を受けられるよう、企業が最終パッケージ製品の中でより多くの原料をフェアトレードとして調達するためのモデル(FSI)を開発しました。
  • • 政府、企業、消費者に対し、農家や労働者が人間らしい生活を営めるようになるための行動を促すために、フェアトレードは、この課題に関心を持ってもらうよう、他のパートナーとともに声を上げています。農家の収入労働者の賃金に関する私たちの取り組みについて、詳しくはリンク先をご覧ください。
小規模農家と労働者が適正な収入を得るためのフェアトレードの取り組みは、SDGs:持続可能な開発目標1(貧困をなくそう)、目標2(飢餓をゼロに)、目標 8(働きがいも経済成長も)、目標12(つくる責任、つかう責任)の達成に繋がります。

しっかりと生計を立てる力をつけられれば、次世代の農家や労働者に持続可能な未来を提供することができます。そのためには、消費者も、農家や労働者の生活を守る買い物を選択するなど、すべての人がそれぞれの役割を果たすことが必要です。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)とディーセント・ライフ(人間らしい暮らし)は、決して贅沢な望みではなく、誰しもが持つ権利です。

元記事、関連する資料のSダウンロードはこちら(英語):https://www.fairtrade.net/issue/decent-livelihoods

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